第70話 深淵の森の異変
「ホブゴブリンを一撃で殺せる魔獣……そんなのがこの森にいるのか?」
ナイはホブゴブリンの死骸に視線を向けて冷や汗が止まらず、こんな芸当はオークだって出来ない。そうなるとオーク以上の力を持つ存在が森の中に存在するのかとナイが考えた時、ここで彼は懐に手を伸ばす。
「……またこれに頼る時が来たのかもしれない」
ナイが取り出したのは水晶の破片であり、ここ最近は魔物を倒してレベルが上がる機会も多かったため、ナイは水晶の破片を利用して現時点のステータスの確認を行う。
2年前よりもナイ自身も成長し、戦闘技術も向上したので最近は特に技能を覚える事もなかったが、嫌な予感を覚えたナイは現時点のステータスの確認を行う。
――――ナイ――――
種族:人間
状態:普通
年齢:12才
レベル:1
SP《スキルポイント》:50(使用可能)
―――技能一覧―――
・貧弱――日付が変更する事にレベルがリセットされる
・迎撃――敵対する相手が攻撃を仕掛けた際、迅速な攻撃動作で反攻に転じる
・観察眼――観察能力を高め、周囲の状況を詳しく把握できる
・採取――採取の際、良質な素材が多く手に入りやすくなる
・解体――死骸から素材を剥ぎ取る技術が向上する
・調合――調合の成功率が格段に上昇する
・腕力強化――腕力が強化される
・怪力――肉体の限界近くまで力を発揮する事ができる
・剛力――限界を越えた腕力を一時期的に発揮できる
・脚力強化――脚力を強化される
・自然回復――自然回復力が高め、病気や怪我が治りやすくなる
・投擲――投擲を行う際、標的に的中させられる
・調理――調理に関する技術が向上する
――――――――――
これが現在のナイのステータスであり、この2年の間に覚えた技能の数は「投擲」「解体」「脚力強化」「調理」しか増えていない。どうしてもっと新しい技能を覚えなかったのかというと、理由としては覚える必要がなかったからである。
村に襲撃を仕掛けてきたホブゴブリンの討伐の後、ナイ自身は身体も心も強くなった。以前は魔物を見ただけで震え上がったが、ホブゴブリンを打ち破った事でナイ自身も強くなり、並の魔物に後れを取る事はなくなった。
現時点で身に付けた技能だけでも十分に魔物と戦えるので新しい技能を覚える必要はなかったが、ホブゴブリンの死骸を前にしてナイは直感で危険を感じ取り、今以上に強くなるために久々に新しい技能を覚える事にした。
(新しく習得できる技能は……また数が増えてるな)
未収得の技能一覧の画面へ切り替えると、この2年の間にナイが成長したせいか新しく覚えられる技能が幾つか増えていた。
――習得可能技能一覧――
・命中――弓矢、投擲系の武具で攻撃する場合、命中率が上昇する(SP消費量:10)
・頑丈――肉体の耐久性が上昇する(SP消費量:10)
・受身――外部から受けた衝撃を緩和する(SP消費量:10)
・俊足――移動速度が上昇する(SP消費量:10)
・跳躍――跳躍力が強化される(SP消費量:10)
・隠密――気配を限りなく消し去り、存在感を薄くさせる技術が向上する(消費SP:10)
・気配感知――敵意を抱く生物の気配を感知できるようになる(SP消費量:10)
・索敵――潜伏している敵の位置を捉える事ができる(SP消費量:10)
・無音歩行――足音を鳴らさずに移動する技術を身に付ける(消費SP:10)
・暗視――暗闇の中でも周囲の状況を把握できる(消費SP:10)
・経験値増加――敵を倒す、あるいは経験石を破壊した時に入手する経験値の増加(SP消費量:10)
・栽培――植物を育成する際、通常よりも成長速度が早まり、植物の持つ効果も高まる(SP消費量:10)
――――――――――――
戦闘に役立つ技能だけではなく、中には戦闘以外の面で活躍すると思われる技能もいくつか存在した。それらを確認しながらもナイは現時点のSPでどの技能を習得するべきか考える。
「SPが50となると覚えられる技能は5個か……SPはもっとあると思ってたのに」
これまでに倒してきた魔物の数を思い返し、意外にもSPの数が少ない事にナイは不思議に思う。子供の頃は割と簡単にレベルを上げてSPも蓄積する事が出来ていたのだが、最近は何故かレベルが上がりにくくなってきた。
2年前はゴブリンを1匹でも倒せば簡単にレベルが上がったのだが、今ではゴブリンを数匹倒してもレベルが1から上がらない事もあり、何故かは分からないが昔と比べてナイはレベルが上がりにくくなっていた。肉体が成長した事が原因なのか、あるいは別の要因があるのかは不明だが、ともかく昔よりもレベルは上がりにくくなっている。
それでも普通の人間と比べたらナイは「貧弱」のお陰でレベルが毎日リセットされるため、レベルが上がりやすい体質なのは間違いない。それに技能の中には経験値を増量させる技能もあるため、この際にナイは「経験値増加」の技能も覚えて置く事にした。
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