第288話 普通の服装で謁見の間って大丈夫なのかな?

 褒美とかいらないんだけどなあ。

 そう思うデルクだったが、断ればどうやら陛下が恥をかくそうで、色々な意味でそんな事態はゆるされないそうで。


 仕方がないのでこのままお城へ向かいました。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「おおデルク殿!待っておりましたぞ!!!!」


 宰相閣下が早速出迎えてくれますが、なんで宰相閣下が?


「お久しぶりです閣下。」

「すまぬが早速謁見の間へ向かってくれぬか?皆待ちか・・・・待っておるのだ。」

 今何か待ち構えって言いかけましたね?

 そう思うデルクだが、


「うわあめっちゃ胡散臭いじゃねえかよ!」

 流石のヴィーベさん。

 空気を読まないその発言、ある意味尊敬します!


 そして背後から忍び寄るリニさんが押しているベビーカー。

 グシャ!


「いってええ!!!!!」


 ベビーカーのタイヤが見事にヴィーベさんのアキレス腱に。

 痛そう・・・・


「馬鹿な事言わないでさっさと行く!」

 流石リニさん。

 お母さんになってもヴィーベさんの扱いに少しの変化もありません。

 ぶれないリニさん、流石です。


「ヴィーベ、それぐらいにしておけ。さあ皆行こう。」


 しかしいいのでしょうか?

 城で陛下に謁見するような身だしなみではないのですけれど。

 まあ以前も似たような感じだった覚えがあるようなないような・・・・気にしても今更感がありますね。


 しかし宰相閣下もそうですが、そもそもトゥーニスさんが僕達の衣類に対し何も言わないので、特にかしこまる必要は無いのでしょう。

 しかしレイナウトも同じ疑問を感じていたのか、

「トゥーニス様、それに宰相閣下、僕達は急に来る事となったので、国王陛下と謁見するような服装ではないのですが宜しいのですか?」

 4人共そうだけど、ヴィーベさんもリニさんも動きやすい恰好なんです。


「それは問題ないですよレイナウト殿。」

 いざ謁見の間へ入ったはいいけれど、僕達以外めっちゃ正装だったらどうしよう。

 だけど宰相閣下がそう言うのだからいいのでしょうね。


 で、あっという間に謁見の間に。


「デルク、この格好変じゃない?」

 セシルが不安そうに言うけれど、セシルはいつ見てもセンスのいい服でばっちり決めているから問題ない!勿論中身がそれに見合っているからこそなんだけど。


「セシルは大丈夫だよ。そのまま社交界デビューしても大丈夫。」

「そんな恐ろしい場所にはいかない。」


 セシルにとって社交界は恐ろしい場所のようです。

 そして謁見の間へ到着したはいいのですが、陛下はおろか誰もいません。


 そういえば以前、陛下は案内の人に扮して僕達を驚かした事があったなあと今更思い出します。

 でも今回はいないよね?

 まさか実は陛下が宰相閣下に変装している、じゃないよね?


 しかし今回は僕達が謁見の間に入るとすぐに陛下と王妃様がやってきました。

 そして・・・・何故か僕達の後から沢山の人が入ってきます。


 よく見ると、レベリングを行った遊び人部隊の人々や、王子様ですね。

 一体何が行われるのでしょうか?


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