第251話 セシルの決断

 一緒に見ているレイナウトが、

「本来はここで表示プレートに触れればスタートだったかな?ただ僕はファーストしか選定しなかったからセカンドとの違いがわからないが。」


 そうなんだ。普通はファーストで終わるから。


「ファーストとセカンドの違いはなかったはず。そう言った記憶がないんだ。」


「じゃあこれは本人が表示プレートに触れて、欲しいジョブを選択すればそのジョブを得るのかしら?そうだったら選び放題ね!」

 確かにロースの言う通り。


 ここで思います。

 この3人は上位職持ち。

 だけど最初から持っているという事は、セカンド・サードも同じジョブは選定できるはず。

 だけどもし選ぶなら遊び人が一番だと思うんです。


「しかし、もし選択できるのなら遊び人が一番だと思う。」

「わかった。」

 え?分かったって何が分かったんだい、セシル。


「セシル一寸・・・・」

 僕が言い終わる前に、セシルが選定板と接続している表示プレートのセカンドジョブを、選択可能な一覧の中にある【遊び人】という部分に触れてしまいました。

【セカンドジョブに遊び人を選択しますか?はい/いいえ】

 と出ています。

「セシル駄目だよ!」

「デルクと同じ!」


【はい】

 を選択してしまうセシル。

 ああなんてこった!


 気が付けばセシルはセカンドジョブが遊び人になってしまってました。

 僕が呆然とセシルを見つめていると、選定板から手を放し、

「デルク、サードジョブの確認。」


 そう言って手をかざすセシル。

 僕は無意識に表示プレートへ手を触れてしまいました。


 どうも司祭が触れないといけないみたいで、こうして僕も触れると表示が出るんです。

 ●    ●    ●    ●

 <セシル・ヴァウテウス>


 選択可能なサードジョブ・・・・


 ●    ●    ●    ●


「サードジョブも変わらず出ている。」

 セシルがそんな事を言っているのを何故か僕はボーっと見ていました。

【サードジョブに遊び人を選択しますか?はい/いいえ】

「これでデルクと一緒!」

【はい】

 にセシルの指が触れています。

 そしてまた手を放し、もう一度選定板に手を触れるセシル。


「今度はファーストジョブ。」


 ●    ●    ●    ●

 <セシル・ヴァウテウス>


 現在ファーストジョブの神聖騎士は最上位職のためクラスチェンジが出来ません。

 転職可能なファーストジョブ・・・・


 ●    ●    ●    ●


 と表示が出ています。

 そして転職の方にはやはり遊び人が。

「遊び人を選ぶ。」

「セ、セシル何をしているの?」


【ファーストジョブの神聖騎士から遊び人に転職いたしますか?はい/いいえ】

「勿論はいで!」


 珍しくテンションの高いセシル。

【はい】

 に指を置き・・・・


 セシルのジョブは3つ共遊び人になっていました。

 そして僕はセシルに揺すられつつ、

「これでデルクと同じ!」

 そのままセシルが抱きしめてくれてます。

 ああ、何でセシルはこんな事を!

 もっと話し合ってから・・・・僕はセシルの人生を狂わせてしまった!

 セシルも興奮して正常な判断が出来ていなかったんだ!ああ、こんなはずじゃなかったのに!


 そしてセシルはと言えば、デルクと同じ3つ共遊び人になれた事で大喜び、呆然と立ち尽くしているデルクに思いっきり抱き着いて全身で喜びを表現しています。


【デルクと一緒になれた!】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る