第243話 なんか思い描いたのと違うのですが?

「遊び人は司祭にジョブチェンジできます。」

「知っておる。既にそうして遊び人部隊を各地に向かわせ、選定板を扱わせておる。」

「それです陛下。選定板です。選定板を扱えるのであれば、転職が可能です。僕が考えているのはセカンドジョブ・そしてサードジョブを選定してもらい、後から遊び人に転職してはどうかという事なのです。」


 あ、皆さん顔を見合わせてます。もしかして今まで誰も考え付かなかったの?

 一寸信じられないんだけど。


「ちょっとあなた、できるのかしらそんな事。」

「どう思う?」

 あ、トゥーニスさんのお母様が手を挙げている。


「いやあデルク君、実にいいねえ!どうして皆そこに思い至らなかったのだろう?考えてみればできない事はない。」


「一寸お待ちを!」

 あれれ?宰相閣下が何か言いたいようです。何かな?

「それは直ぐには実行できませんな。」

「ええとどうしてでしょうか?」


「転職はレベル5以上でないと無理だからだ。勿論その職業がだ。もし今セカンドジョブを得たとして、それが戦士だったら?戦士をレベル5まで上げねばならぬ。」


「そうなのですか?でも遊び人はレベル1でもジョブチェンジできますよね?」

「遊び人のジョブチェンジは時間制限があろう?似て非なるものなのだよ。」

「しかしここはダンジョン。囲いを使えばレベル5まではあっという間ですよ?」

 あれ?皆さん再び固まっています。


「一寸待て。考える。いいかデルク、これは慎重に考えねばならぬ。この考えは今思えば成程なのだが、未だかつてこんな単純な事を誰も思いつかなかった事を考えても、万が一皆が気が付けばとんでもない事になるやもしれぬ。」


「そうですわね。ここはやはり教会には滅んでもらうしかありませんわね。」

 え??結論そこ?しかも色々端折っているよね!


「世界を相手にとか。それは中々に大変だのう。」

 陛下も大変と言い切った!否定しなかったという事は、今それなりに考えてるんだよね?


「それにあれだわ、ここでのレベリングよ?この方法も今まで誰も実行できなかったとんでもない方法って今更ながら気が付いちゃったわ!これはこの世界の常識がひっくり返るかもしれないわ!」


 あっれぇ?なんかおかしい?

「セシル、何か僕が思い描いていたのと違うんだ。」

「何が?」


「もっとこう、セカンドジョブをとか、そんな議論になると思てっていたのに、今の議論は世界だよ?」


「デルクはもっと自分を誇っていい。」

 何かずれている。

 え?僕がずれているって?

 でもセシル、僕は何に誇ればいいのかな?

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