第166話 マウト女史の驚き
「信じられない!」
マウト女史の叫びが周囲に響き渡ります。
「マウトさん、どうしましたか?」
マンティコアを仕留め、周囲に他の魔物が居ないか警戒しつつマウト女史に訊ねます。
「デルク・・・・殿。マンティコアは強固な魔法耐性を持っているんだ。普通魔法ではマンティコアにダメージを与えられないんだよ、普通は!」
デルク君からデルク殿に呼び方が変わったのが気になりますけれど、普通に魔法で攻撃できてたよね?
しかも想定より魔法でのダメージが大きく、地上で活動している魔物なのに、頭やお腹に大きな穴をあけちゃったし。
「マウトさん、僕達の魔法や攻撃は普通にダメージを与えられましたが?」
「そうなんだ!信じられないが何だあの魔法の威力は!それに2人の剣、何あの魔剣?剣から何か飛んでっいたけれど?それに・・・・君達4人、なんて物を投げているんだ!恐ろしく高品質・高威力の短剣じゃないか!これ一振りで金貨何枚すると思っているんだ!」
うーん、魔法の威力って言われても、普通にダンジョンで使っていたんだけど?
それに短剣は鍛冶スキルを上げるために数打ちした使い捨てだから、まだまだ沢山あるよ?
「まあマウトさん、今は他の魔物を仕留める事が優先だと思うのと、早速ですがマンティコアを解体したいのですが。」
あ、そう言えばこんな大きな魔物の解体ってした事がない。僕ってずっとダンジョンに居たから、解体する機会が無かったんだよね。
幸い?ダメージを与えた所から血が出て行っているから血抜きはしなくてもいいのかな。
「いや待て!そうじゃない!確かにマンティコアは強固な魔法耐性持ちなんだが、そもそも普通の剣ではダメージを与える事も難しい強固な毛で覆われているのだぞ!何で短剣がグサグサと刺さるんだ!」
その後暫くマウト女史の叫びは続き・・・・セシル駄目だよ寝ちゃったら。
あまりにも長いので、僕もついウトウトしちゃったのは内緒。
最後は頭に血が上り過ぎたのか、倒れてしまいました。
どうしようか悩んでいると、他のギルド職員らしき人が数人やってきて、
「副ギルドマスター!お気を確かに!おい駄目だ!少し横にさせよう・・・・街の中へ持っていくぞ!」
4人でマウト女史を持ち上げ去っていきます。
「役得役得♪」
とか言いながらちょっときもい顔で連れ去ったけど大丈夫かな?
「ねえあのおば・・・・お姉さん大丈夫かしら?」
今おばさんって言おうとしたよねロース。駄目だよマウト女史ぐらいな見た目の女性におばさんとか言っちゃあ?
一寸男前すぎる言葉使いが折角の・・・・こういうのって残念な人っていうのかな?
あ、今はそんな事はどうでもいいや。
結局解体どうしよう?
ロースに解体ができるとは思えないし、セシルはどうかな?レイナウトならやった事があるかな?
僕は4人に聞いてみます。
「え?解体なんかする訳ないじゃない。短剣ですらダンジョンに出入りするまでまともに扱った事がないのに!あ、包丁は別よ?」
ですよね・・・・
「小さいのならできるが、こんな大物はした事がない。血抜きに時間がかかりそう。」
セシルはした事があるんだ。
「確かにセシルの言う通りだよね。僕も一通り解体はできるが、こんな大物はさっさと収納かばんに入れて、ギルドの職員に解体してもらえばいいさ。幸い収納かばんはあるし、それにほら、街はすぐそこだし。」
そうだよね。まだ魔物は外に沢山いるはずだし、時間もかかるし。
「じゃあそうしようか。僕もこんな大きな魔物の解体はした事がないからどうしようか悩んでいたんだよ。」
それに価値のある部位もよくわからないし、素人が下手に解体して必要な部位が傷ついて価値が無くなったりしたらもったいないしね。
4人で手分けしてそれぞれ持っている収納かばんにマンティコアを触れさせ、どんどん仕舞っていきます。
ぱっと見欠けた部位とかないと思うんだけど、気になるのが地面一面、血のしみ込んだ跡。それに一部は血だまりになっているし。
穴掘をって埋める?それとも・・・・浄化できるのかな?後は火魔法で焼いてしまう?ああ、でも焼くと臭いが周囲に広がって悲惨な結果になりかねない。
結局土魔法で穴を掘って血の痕跡を全て埋めてしまい、綺麗な土で蓋・・・・覆い隠してしまいました。
これで他の魔物が血の臭いにつられてやってくる、と言う事もないよね。
その後結局冒険者の方達ってドロップアイテムも殆ど回収してくれていなかったので、急いで回収していきました。
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