第152話 デルタさんからの連絡

「デルク、何か振動している。何?」


 僕はレイナウトの問いかけにどう返事をしようかと思っていたのですが、セシルの指摘にふと身体へ意識を戻すと、確かに何か【ブーブー】と振動が伝わってきます。


 ふとその振動がカバンから伝わっている事に気が付き、カバンの中身を確認します。

 すると・・・・そう言えばデルタさんからアイテムを貰っていたんだった。

 手にすると、何やら頭の中に声がします。

【突然の連絡申し訳ありません、デルタでございます。】

 えっとなんだっけ?今日何通話の約束ってあったっけ?1週間後だったよね。

【えっとなんでしょう?】


【ダンジョンに異変が発生いたしました。特殊な魔道具を付近で使用した痕跡がございます。魔道具による影響でダンジョン内の魔素が暴走しています。】


【魔素が暴走ですか?それは何かダンジョンと外に影響が?】

【魔素がダンジョン外にあふれ、その影響で上層はおろか、中層の魔物までもが地上に溢れ出しました。魔素が無ければダンジョン内の魔物はあっという間に消滅するのですが、現在地上には恐ろしい規模の魔素で満たされています。したがって下層の魔物が地上で長期間活動できる事態になってしまっています。】


 あー、これはあれだ、ギルマスが何かピ――――って音のする道具を使ってから異変が起こった、それの影響でしょうね。


【もしかして今、街の外へ魔物が溢れ返っているみたいなんだけど、これってダンジョンの魔物?】


【全てダンジョンの魔物、という訳ではありませんが、その可能性は否定できません。地上の魔物も色濃い影響が出ているようですので、どちらかとは言えません。ただ、このままですと2日後には90層以降の魔物が地上へ出てしまいます。】


 デルタさんの言う下層は90層までらしいです。それ以降は深層?分かりません。

 うわ・・・・ワイバーンとか出現するの?其れより困るのはドラゴンです。

 じゃあ魔物を仕留めたら終わり、という訳じゃなさそうだけど、どうしたら?


【デルタさん、その魔素だけどダンジョンから地上へと溢れ出すのは止まらないの?】


【あと1日経てばダンジョンの機能が全て修復でき、修復さえ終わればやがて収束いたします。ただ一度漏れ出した魔素は回収が難しいので、デルク様達の方で高威力の魔法を放って頂くか、デルク様のスキルを駆使した魔道具及び魔剣などを作成して頂くか・・・・デルク様、精霊の召喚をいたしませんか?幸いデルク様のお連れ様の中に精霊の使い手がおられる様子。】


【精霊?どうして?】

【より高位の精霊を召喚する時には大量の魔素が必要となります。そして精霊が発する魔法は魔素を魔力に変換したものでございます。】


 だけど精霊使いのジョブにはなった事がないからなあ。落ち着いたらやってみようとは思っていたけれど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る