第102話 異変

 デルクは何か見落としが無いか、考えていた。

 そうだ、鑑定。鑑定しておけば・・・・


 急ぎジョブの一つを商人に変更、床に転がっているリビングアーマーを鑑定する。

 しかしその鑑定結果に驚いた。


『リビングアーマーじゃない!』


 鑑定結果は

【デュラハン】


 だった。


 デュラハンは外見はリビングアーマーとそっくりな場合もある。

 全く違う鎧姿の場合もあり恐らく今回、外観はリビングアーマーと同じ。


 違いを見分ける方法として、リビングアーマーは一度倒れるとそのまま鎧をドロップするが、デュラハンは何事もなかったかのように復活するのである。


 そう、デルクは以前本で読んだ事がある。

 ただしこの情報は一部間違っている。

 そのせいでデルクは判断が遅れた。


 それに弱点、討伐方法はその本に記載がなく、他の資料にも討伐情報、弱点等が記載しておらず、倒し方がわからない。


「みんな気を付けて!これはリビングアーマーじゃない!デュラハンだ!」

「デュラハン?倒しても復活するというあの恐ろしい化け物?」


 レイナウトも調べていたようだが、やはり情報が間違っている。

 そしてデルクは急に恐ろしいほどの恐怖を覚える。

 何か見落としがある。

 それも悪い方に。

 悪い予感がする。


 するとそれに反応するかのように、倒れてバラバラになっていたリビングアーマーの残骸と思われていたものが急に動き出し、飛散していた四肢が体に吸い寄せられ、立ち上がったのだ。


 一部は頭部が付いていない・・・・


「きゃああ!!!」


 ロースが恐慌状態になる。

 幸い精霊が守ってくれるので何とかなるが、ロースには安全な場所で落ち着いてもらうしかない。


「デルク!」


 セシルの声に我に返るデルク。

 デュラハンがデルクに剣を振るってきたのだ。


「うわ!!」


 急いで避け、ジョブを戦士に戻す。

 そして剣で対応をするが、再び吹き飛ぶデュラハン。


 おかしい。何故切り付けられないのか?

 それはセシルもレイナウトも同様。


 吹き飛んでは再び立ち上がるデュラハン。

 斬撃を放つも吹き飛びバラバラになるが、その都度復活する。


 おかしい。

 魔法だろうか?


「レイナウト、剣の能力で魔法を!」


「何?分かった!」

 レイナウトは魔法を放つが、結果は同じ。


 これは何か大きな見落としがあるはず。

 そうういえば頭は何処に行った?


 デュラハンには頭がない。だが最初は頭があった。それは何処に?

 見ると頭が集まり、一体のデュラハンに見える姿になって隅でじっとしている。


 何でだろう?頭に何か秘密が?

「セシル、頭が集まっている!」


「頭を攻撃する?」

「僕がやってみる!」


 僕はセシルに守られ、頭の所へ向かう。

 するとデュラハンは一斉にデルクへ攻撃を仕掛けてくるが、全て薙ぎ払う。


 そして目の前には頭の集まりが。

「セシル、仕掛ける!」


 デルクは頭に剣を振りかざした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る