第100話 ボス部屋へ向かうか否か
● ここから暫く視点に変化があります。 ●
94層の敵を全て始末した4人。
一応安全な93層に戻って話し合い。
当然ながらこの先、つまり95層のボス部屋を挑むかどうか、という事に。
「今の僕等ならいけるさ!さあ行こうよ!」
レイナウトが興奮しながら意見を。
「私も挑みたいわ!何だか物足りなかったもの。」
ロースも興奮しています。
デルクはセシルを見ます。
「多分勝てる。念の為もっと上の階層でボスと戦う事から試した方がいい。」
なるほどセシルは現実的な意見を。
「レイナウトにロース、どうしたんだい?らしくないよ。もう少し落ち着こう。」
デルクは困惑している。
何故ならいつも的確な判断をするレイナウトが明らかに興奮し、そのせいで判断を誤っているからだ。
デルク自体は95層に向かっても問題ないと考えている。
しかし今のレイナウトは考える事なく、しかも根拠もなく進もうとしている。
ロースも然り。
物足りないという事だが、そんな事で進もうと考えているのが、ああ見えて思慮深いはずのロースらしからぬ判断。
そしてセシル。
セシルの判断は頷ける。
4人の現状の戦力なら、間違いなく圧勝できる。しかしまだこの4人ではボス部屋を経験していない。
この経験不足はややもすると致命的な何かを引き起こしかねないので、デルクとしてはできればもっと上の階層で試したい。
そしてデルク自身も自身の変化についていけていなかった。
【あれ?どうしたんだろう?なんだかすごく客観的に考えていた?】
おかしい。何でさっきまで僕はあんな思考だったんだろう。
まるで他人事のような状況判断。
しかし困ったな。ロースはまだ何とかなるけど、僕では弁の立つレイナウトを説得できないよ。絶対無理だなあ。
「みんなまだ武器に慣れていないよね。もう少し上の階層でボスと戦うか、もう少し時間をかけて色々武器に慣れてからの方が良いんじゃないかと思うんだよ。」
デルクは特にレイナウトを意識してそう伝えます。
「何だからしくないじゃないか!何事にも流れ、勢いというものがある。今流れはこちらに向いているし、勢いもある。今挑まなくて何時挑むんだい?」
元々饒舌ではないセシルはデルクを見るが、何も言わない。デルクもそれは気が付いているが、僕ではレイナウトには弁では勝てないんだ。
【ごめんねセシル。僕にはああなったレイナウトを止める術がないんだよ。】
分かっているのかセシルはデルクをじっと見つめている・・・・気がする。
この後も話し合いが行われたが、残念ながらこのまま95層に向かう事に。
・・・・
・・・
・・
・
95層、ボス部屋の前
「念の為に言っておくけど、今まで過去の冒険者の情報だと、70層のボスまでしか討伐報告がないんだよ?考え直さないかい?」
「それはレベルと武器の違いだね。今の僕等なら問題ない。」
レイナウトはそう言って、ボス部屋の扉を開けたのだった。
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