02 シナリオブック(アッシュ)
――第一部―― ノーサイド・ジャスティス
鍛冶で名前のある辺境の村に生まれ育ったアッシュ・カーバングル9歳。アッシュは不意をつかれて夜盗に襲われ、死にかけていた所を初代勇者デュランダルに救われる。その後、初代勇者と他数名の仲間と共に旅を続け、世界に様々な呪いを振りまく、堕ちた女神討伐を果たした。
パーティー解散後、故郷に戻ったアッシュは、幼なじみのコルトや両親、村の住人達に出迎えられて、正義の人として有名になる。
しかし、10歳になってすぐ。成人の儀式の直前に、アインと名乗る少女を発見。アインは周辺の村々や町々で暴れ回っている化物で、生贄を殺している人ならざる存在だった。だが、コルトとアインのやりとりを見て、普通の少女にしか見えない事を違和感を抱いたアッシュは、討伐を一端思い留まることにした。
けれど、村の住人達はそれを許さず、アッシュ達を問答無用で裏切り者と呼んだ。逃げ延びる際に、手がかりを求めた住人達の手によってコルトが死亡。アッシュは、たやすくひっくりかえる正義の定義に悩んだ。
苛酷な逃走の旅の末、初代勇者の知恵を借りたアッシュは、アインを化け物たらしめている穢れを引き受け、自らが化け物となってしまう。
――第二部―― 罪と贖罪
名前のない化け物となり果てたアッシュは、辺境に封印されながらも、付近の村々や町々から差し出される生贄を喰らって生きていた。記憶も失って、自分が何者なのか分からずに日々を過ごしていたアッシュだったが、アインがやってきて、アッシュの誰にも押し付ける事のない方法で穢れを払った。アインはこのために、長い間アッシュを救う方法を探して旅をしていたという。人間に戻ったアッシュだったが、記憶は完全には取り戻せず、名前も覚えていなかった。そのため、アッシュはアインの次の化け物として、自らをツヴァイと名乗った。
化け物として引き起こした悲劇の贖罪の為に、各地を旅するツヴァイ達は、アインの親であるカティサと出会った。
アイン(始まりを告げるもの)はカティサ(明りを生み出すもの)によってこの世界に寄越された存在であり、この世界に害を成す存在……シエラ(明脈を喰らうもの)の影響から守るための存在だった。話を聞いたツヴァイは、シエラが活動している証拠……星降り現象を目撃し、討伐を決意する。
しかし、討伐は失敗し、ツヴァイ達はシエラに敗北してしまう。その結果、レム・ワールド(現実世界)はレムリア・ワールド(夢世界)と入れ替わってしまい。ツヴァイ達は夢世界へと落ちていってしまう。
――第三部―― レムリア・ワールド
カティサによってレム・ワールド(夢世界)から引き揚げられたツヴァイ。ツヴァイが目にしてレムリア・ワールドは、多くの複製人間達が生活する世界となっていた。
レム・ワールドに残り続けるアインを助ける為に、ツヴァイは引き上げ方法を探し、世界を巡る。
そんな中立ち寄った小国にて、リーゼロッタという少女と出会う。
成り行きでリーゼロッタと共に旅をすることになったツヴァイだが、旅の中でアインを引き上げる為にはリーゼロッタを犠牲にしなければならないことが判明。ツヴァイはやむなく、目的を断念した。
しかし、不意の事故で一般人を庇ったリーゼロッタが死亡してしまい。旅はあっけなく終わりを告げた。
一方シエラ(フェイト・アウロラシェード・ストレイド)は大王国グランシャリオを建国。ストレイドの血を王家に残すことで、安全な転生先を確保した。
シエラの罠にかかって追い詰められたツヴァイは、カティサの助けによって、その時代から脱した。
――第四部―― 光と闇のクロニクル
魔物が発生し、はびこるようになった時代。魔物を率いて人々の安全を脅かしていたという夜の魔女が討伐されてすぐ後の時代に、ツヴァイはやってきた。
その時代でツヴァイは朝の騎士と出会い、シエラ(フェイト)を追いつめて、投獄する。しかし、フェイス・アローラと名乗っていたシエラには、記憶が存在せずに一般人として過ごしていた。結局は、王宮の暗部に触れたフェイスは、呪術の研究によって、性格がねじ曲がって元のシエラと同じような性格になってしまう。
それから月日が経過し、ツヴァイはリーゼロッタの魂を犠牲にせずに引き上げられたアインと、王宮で再会する。その名前のない少女は、転生したアインの姿であり、記憶はないようだった。その少女は、呪術実験の披見候補として王宮にいた。王宮の暗部の歴史を終わらせるために、朝の騎士や白き巫女らと協力して、フェイスと戦うツヴァイだが、何かが起こって結局は結末を見届けられないまま、その時代から退場することになる。(アインは操られたツヴァイの手によって殺害されている)。ツヴァイは、最後に何が起こったのかを無意識に封じ込めたまま、次の時代へ、流されていった。
――第五部―― ブラッドカルマ 犠牲と業
最後に何が起こったのか分からないままでいたツヴァイ(15歳)は、勇者ユースに拾われて旅に同行することになる。ユースに気に入られたツヴァイは、勇者の後継候補として、年上ばかりのパーティーメンバーに扱われる。
だが、アインの姿を探すツヴァイは王宮の騎士となる道を選択する。数年後ツヴァイは、開ける朝の担い手として、活躍しリーゼロッタの転生体であるリーゼと出会う。(その間にツヴァイにかかっている呪いが少量ずつ他者へと移動)しかし、騎士任務にて、部隊のメンバーが仲間割れを起こし、リーゼが死亡してしまう。魔物襲撃の危機にある村や町の救援という、本来の任務は達成できず。ツヴァイは迷い込んだ遺跡で、迷いの森へと転移してしまう。そこで、勇者ユース、レット、アンヌと再会し、騎士を辞める事、勇者を継ぐ意思がない事を告げる。
それからは、今までの人生で慌ただしかった周囲が嘘のように静まり返った人生を過ごすツヴァイ。
そしてツヴァイは、ツヴァンとして騎士時代に知り合った人間の伝手で、教職に就く。その後二度目の担当生徒となるステラ達が入学してくる。
優秀な女生徒であるステラの危うさを知りつつも、思うように手をかすことができないツヴァンは、二の足を踏む日々を続けていた。怠慢な生活を続けていたツヴァンだが、卒業式終了後に国内でクーデターが起こり、状況が一変する。
ほどなくして、ステラ達が人質をとられて王宮で働かされている事を知った、ツヴァンは救出する方法を計画するが、その計画が日の目を見る前に自体は収束に向かって行った。
最初から最後までかやの外にいたツヴァンは、今まで自分がことごとく自体の渦中にいられた過去を振り返る。どんな時でも、状況を左右できる立場にいたツヴァンだが、使い潰された駒のように盤上から排除された道化だと己を評した。
国の行方を左右する嵐が過ぎ去った後、ツヴァンは今までと同じように怠惰な日常を過ごしていくが、シエラの暗躍の情報を手にしたツヴァンは王宮へ。
そこでは、ステラの恋人であるツェルトが、シエラに乗っ取られて脅威を振りまいているという状況があった。
ステラが自分と同じように、世界の勝手で使い潰されることを危惧したツヴァンは、今までの人生にケリをつけるために勝負を挑み、戦闘の末勝利した。
これまでに積み重ねて来た数多の敗北と失敗と、罪と犠牲。
それが何の為にあったのか。ツヴァンは少しだけ答えを掴みかけていた。
――第六部―― アッシュ・カーバングル 灰暗き今を乗り越えて
国もツヴァンの周囲も、再び平穏な生活が訪れる。
教師の仕事の合間に、時折王宮を訪れる事が多くなったツヴァンは、食堂で特務の女性騎士ティータ・ネレイアンに出会う。
小さな困りごとを解決した縁で知り合ったその女性は、自らの事を転生者だと名乗り、レムリア・ワールドの事情について口にした。
もう一つの世界……レム・ワールドの記憶を有するティータが言うには、ステラが幼い頃にカルル村の住人達を助ける為に迷いの森に入った時にツヴァイが出会っていれば、ツヴァイの今までの苦労は全て報われていたはずと言う事だった。そうすればユースたちと余裕を持って会話することができて、ある情報を引き出すことができたとも。
その内容は、どうやってもツヴァン達ができなかったこと、シエラを次の時代に転生させる事なく、完全に殺す方法だった。
ツヴァンはその方法を調べ直す為に、ユースの残した情報をかき集める事にした。
その過程で、ツヴァンは剣守の一族、シェリカ・クロスソードと出会う。勇者の後継者がいなかった場合に、勇者の所持していた剣を保管するために存在するのが、剣守の一族だった。
シェリカは延べる。
星降り現象をこのまま放置しておけば、いずれまたレムリア・ワールドとレム・ワールドが入れ替わってしまう事を。
それを防ぐためには、祭壇となる特別な遺跡を探し出して、神なき世界に女神を復活させなければならないこと。
女神を復活させるための条件は、汚染の原因となるシエラを討伐して安全を確保しておくこと。
古の時代から生きて来たツヴァンは、強い精神干渉体制を身に着けていた。魔物や精霊の干渉を受けないツヴァンにしか、シエラは倒せないのだという。
周囲の助けを借りて、教え子である主人公のステラをせっせと引き立て役に落とし込みつつも、準備を進めるツヴァン。
万全の体勢を整えてシエラに戦いを挑んだツヴァンは、勝利した。
自分を見失って、何者にもなれずにいたアッシュ・カーバングルの物語が、ここで完結する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます