SS ステラの占い



 SS『ステラの占い』


 かねてよりしていた占いの約束を消化するために、ツェルトの事を占ったステラ。

 占いの結果で出た石は乳白色で「明日はとても良い事がある」だった。


「ということで、これで結果が出たわ」


 結果に出た意思を示しながらステラがツェルトに説明すると、満足そうな笑みが帰って来た。


「明日はとても良い事がある……だっけ。俺としては明日じゃなくて、今日良い事があっても良いんだけどな。色々やったりとか」

「色々?」

「何だろう。そこで俺に聞いてくるとか、ステラだなって思えてなんか最近は逆に安心してくる」

「はぐらかさないでってば」

「じゃあ、真面目に言って良い? ステラを抱きしめたりステラを……」

「え……、あ、それはあの、えっと、あぅ、その……」

「そんで最後にって、ん? 大丈夫かステラ」


「仕切り直しね、一旦忘れましょう。まだ最後まで説明してないんだから、途中で茶化しちゃ駄目じゃない」

「(茶化してるつもりはなかったんだけどな、俺)」

「この結果は他の石と比べてかなりいい方ね。明日も任務があるんでしょう? だからきっと良い結果が出る、っていう事だと思うわ」

「思うわ。……って、なんで疑問形なんだ? もうちょっと自信を持ったらいいじゃん。俺ステラに占ってもらったってだけで、何でも良い結果出せる自信あるし」

「だって、少し怖くて。太鼓判押した後に、嫌な事があったらそれだけ悲しいじゃない。私の事ならともかく、それでツェルトが嫌な思いをする事になったらって」

「やれやれ、そんなのまったく不要な心配だぜ、ステラ」


「ステラに占ってもらった事がむしろ良い事なんだから、もう結果は叶ってるようなもんだって」

「もう、すぐそうやって茶化すようなこと言うんだから」

「本気だぜ? 良かったなって心から思ってる。だって良い結果でたじゃんか。俺は凄いそれで満足だし、嬉しいんだ。ステラだって逆の立場だったらそう思うだろ。だからもう、それだけで効力発揮してるんだよ」

「ツェルト……、そうね私も同じ。その人が心を込めて思ってくれたってだけで、それだけで嬉しい」

「そうそう、占いってのはほんのちょっと背中を押すようなもんだと思うぜ。ステラの努力を否定するわけじゃないけど、だからそう思うくらいでちょうど良いんだよきっと」

「そうなのかもしれないわね」


「だから、さ。本当は独り占めしたいところだけど、他の皆にもお裾分けしてやんね? ステラが趣味に頑張ってるの皆知ってただろうからさ」

「そうね、ありがとうツェルト。結構心が軽くなったわ。そうよね。占いで本当に大事な部分は、結果なんかじゃなくて、そうやってその人を心から思う事なのかも。その思いがきっと大事なんだわ」


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