双子の守り手の物語



 むかしむかし、ある所に仲の良い双子の兄弟がいました。

 男のエルドは絵や工作が得意の少年。

 女のレシアは、歌や演奏が得意の少女。

 二人はいつでもどこでも共に過ごしていました。


 ある日、美しい森に迷い込んだ二人は大樹から小さな苗を受け取りました。

 持ち帰った苗に水と栄養を与え、双子は一生懸命に世話を始めます。


 すぐに苗はすくすくと成長し、大きくなっていきました。

 そして、育てば育つほど周囲の土地が豊かになって、宝石の様な美しい花が咲くようになりました。


 けれど、その話を聞きつけた人々が富を得ようと森に押し入り、花や土地を奪い合うようになってしまい、争いが起きてしまいました。

 それは近隣の村々で疫病が蔓延し、多くの者達が亡くなっていったのが原因でした。


 とうとうそのうちの一人が成長して苗から若木となったそれを切り刻もうと、枝を落としてしまいます。


 このままでは人々の無用の争いで若木が傷ついてしまう。そう思った二人は決断しました。


 エルドは魔物となり、森に人が入らないように。

 レシアは精霊となり、苦しむ人々の助けとなる。


 そうして、誰にも傷つけられる事の無くなった若木はゆっくりと傷を癒し、二度と同じ事が起こらぬようにと森を閉じ、長い眠りにつく事にしました。


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