第35話⁂ユノの策略!⁂


あのベランダ伝いに消えた20代後半~30代前半青年は誰だったのか???

手掛かりも掴めぬまま月日は過ぎて行きます。



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スホは20歳でドラマデビュ―を果たしましたが、最初の処女作は主演俳優キム・ユノの弟役でデビューを果たしたのです。


その時は主演俳優ユノよりもスホが話題になり一躍スタ―ダムに伸し上がったスホだったのですが、陰では壮絶ないじめが繰り広げられていたのです。


ユノはキャスティングの段階からスホに難色を示していたのです。

それはどういう事かと申しますと、スホは養成所通いの傍ら雑誌のモデルも兼用しています。

余りのイケメンぶりに雑誌社からのオファーが跡を絶たないからなのです。


その頃からスホは若者から圧倒的な人気を誇っていたのです。

それはそうです。身長185㎝で均整の取れた小顔の爽やかな、当代きっての美男子。


それに引き換えユノは年齢的にも、もう直ぐ35歳で確かに紳士風で優しさと精悍さが売りの一般人受けする逸材ではあるのですが、どちらかと言うと顔が良いからと言うより、優しさの滲み出た、どこにでもいそうな庶民的な所が受け、今尚一線で活躍している俳優なのです。


また身長も180㎝と公言していますが、シ-クレットブーツを履いて何とか一人前の実際は166㎝と韓流スターとしては致命的な低さなのです。


その為、弟役がスホだと分った時は大騒動でした。

「監督あんなまだ19歳の若造で演技も、てんで話にならないスホとか言うモデルは絶対ダメですよ!あんな男を弟役に起用するんだったら僕は主役を降ります。」


「まあ~?そんな事を言わずに仲良くやって行こうじゃないか~!」


監督も主役のユノがゴネるので四苦八苦しています。


大体主演俳優の弟や妹はまだこれから将来が期待される新進気鋭の若者が起用される事が多く、スホが弟役になっても何の不思議も無いのです。


ユノの心情は{こんなイケメンでは自分が食われてしまう。只の引き立て役になってどうする?このドラマで又一つも二つもステップアップしてもっともっと高みを目指したい、その為には自分がいかに魅力的でファンの心を掴むかなのだ、その為には何としても自分よりも影の薄い若手俳優を起用して欲しい}そればかりなのです。


その為にはスホが目障りで仕方がないのです。



芸能界で確たる地位を築くには、男はスカウトされて特待生待遇で養成所に送り込まれるか?親に財力が有るか?はたまた大口のお金持ちを捕まえるか?まあ~?要はハイクラスのパトロンを掴んでいるかどうかなのです。


ユノは一般家庭出身の、さしてイケメンでもなく唯一誇れるのは、子供の頃から人間関係を築くのが非常に上手い、人たらしと言う特技を持っています。


上手く相手に取り入り、気分良くさせて{こいつが居ないとつまらない。必要だ!}

その為、今までどんな時も実力以上のポジションに付けていたユノはこの芸能界でも上手く人を喜ばせ、転がして今の地位を築いて来たのです。


まあ~?主役を張る人物にしますと二度美味しいとはこの事です。

自分よりも見劣りのする、自分を思い切り持ち上げて楽しませてくれる、この男なら準主役に打って付け、第一自分が引き立ちます。

やはり夢を売る世界は見てくれが肝心!さしてイケメンでも無い小柄な男を横に付けておけば自分がぐっと引き立ちます。


{いつも人たらしな性格が、功を奏して、自分の実力以上の高見にも思いの外、簡単に上って来れた気がする}

何を血迷ったのか、こんな自分とは似ても似つかない世界に飛び込んでしまったのです。

俳優養成時代にもとてもじゃないが特待生になれる器量ではありません。

お金は湯水のごとく出て行きます。

その為短期間で稼げる高級ホストバ―でのアルバイトを始めたのです。

そこでソアと出会ったのです。


又そんな財閥最大手家電メ-カ-『テソンゴン』の社長夫人ソア夫人が何故?ホストバ―なんかに???


それは財閥最大手家電メ-カ-『テソンゴン』のウヌ社長に問題が有るのです。

金に物言わせて若い愛人をあちこちに囲っているのです。


それでも優秀な後継者を産んでくれた大切な妻は捨てる事は出来ないのです。

妻のソアにして見ましても{せっかくここまで辛抱したからには、何としても優秀な息子を『テソンゴン』の跡継ぎに!あんな薄っぺらな愛人達に会社を奪われて堪るか!}

その一念で辛抱しているのです。

社長ウヌと妻ソアの間にはもう愛と呼べるものは何もありません。

お互い妥協です。

社長が好き勝手して妻を顧みないのですから、妻も好き勝手にしているのです。


また子供達もママに肩入れして「ママが可哀想すぎる!」と父にヤイノヤイノと、うるさく食って掛かるので妻が何をしようが頭が上がらないのです。


それを良い事にまだあの時は45歳の女盛り、会員制のデ-トクラブもあるのですが、ソアはこのホストバ―に通い出したのです。


完全個室でかなりの競争率を勝ち抜いて選ばれたイケメン達がズラリと居ます。

個室にイケメンが番号を付けてズラリと入って来て好きな相手の番号を記入します。


その時に決してイケメンではなかったのですが、やはり人たらしの人の心を鷲掴みにする優しそうで、こんなに若いのに全てを見透かしたような、この子になら今の苦しみを分かち合える、共有して貰えると思ったのです。


それからは時間が空くとこのホストバ―『ヘンボカダ』に入り浸りになって行ったのです。

苦しい胸の内を理解して包み込んでくれるユノ、更には今までに会った事の無い抜群のテクニシャン。

ソアはユノに身も心も奪われ湯水のごとくお金を使います。

{ユノ無しでは生きて行けない!ユノが居ない人生など死んだも同然!どんな事をしても離したくない!}

溺れ切っています。


ユノはこんな太い上客を掴んだのです。

要はパトロンです。

2人の結束は堅く極近親者からは鉄の結束と呼ばれているのです。


そこでスホが目障りで仕方ないユノはソアに相談したのです。


「あのスホを準主役の座から引きずり落として欲しい!頼む!」


「じゃ~?一度スホという俳優と会いたいわ?そこでまた考えましょう」


ユノは{ソアは俺無しでは生きて行けない身体だから、まかり間違ってもスホに気持ちが傾く訳が無い!まさか25歳も年の離れた坊やに気持ちが傾くなんて有り得ない!御好きにどうぞ!}


そしてスホは先輩ユノの付き合いでソアと待ち合わせの、ホテルのラウンジに出掛けたのです。


一体どんな罠が仕掛けられているのか???




















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