第8話 お見合いの結末

 観音像は門将の喉元をめがけて剣で突いてきた。門将は紙一重で突きをかわし、腰の刀で……。続きはご想像にお任せします。


 死闘を終えた門将と観音像は草地に横になり朝焼けの空を見ていた。

「観音、お主やるのう」

「あなたこそ」

 盛貞も話に入ってきた。

「私も危なかったですよ、観音」

 盛貞も門将も武士である。それぞれ一騎打ちで観音と決戦した。


 観音像は門将と盛貞と友人となった。和尚はその姿を見て涙する。

(良かったのう観音像。お主に初めての友達ができて)

 お菊さんは「男同士の友情っていいわね」と感動しているが、観音像が男かどうかは判らない。


 門将は、観音像に言う。

「そうじゃ、もし私がお菊さんとのお見合いがうまくいったらお主も披露宴に呼んでもよいか?」

「はい、その時は和尚も連れて行きます。はい」

 観音像は門将と盛貞と握手をかわした。


 門将はお菊さんの元に戻ってきた。

「お菊さん、どうか私と添い遂げてください」

「門将様! こ……こちらこそよろしくお願いします」

 お菊さんと門将は婚約した。


 お岩さんは指輪(キーホルダーの輪っかのやつ)を出して二人に渡した。門将はお菊さんの左手の透けた薬指に指輪をつけてあげた。


「おめでとう! お菊! 門将さん」

 お岩さんがお祝いの言葉を述べると、盛貞は「お岩さん、もうこいつら添い遂げてますよー。わっはっはっ。それにあの指輪、キーホルダーのあれじゃないですか。マジうける。お祝いじゃなくてお呪いですよね。あ、今のはお祝いとお呪いの字が似ていて……」

「盛貞ぁ! 黙れ!」とお岩さんは激怒。


 この時の盛貞の台詞を溶けこっこが一字一句間違えずに覚えていたせいで、何度も再現された……。


 門将は披露宴の日まで心霊スポット自分の領地へ帰り準備をすることにした。盛貞も帰って行った。


 お菊さんとお岩さんはさっそく封印寺の幽霊達に報告した。幽霊達はそれぞれ祝福の言葉を述べた。一つ目小僧は「おめでどおー」と号泣。唐傘は歓喜のカランコロンした。


 そして、結婚式の準備が始まった。銅鑼烏帽子の墓を新郎新婦のテーブルにして、ちょんまげメリーゴーランドを用意した。


 観音像も時々出てきて手伝った。観音像は和尚に「和尚、奴らの結婚式のスピーチお願いします」と頼み込んだ。和尚は、一つまみの塩を眺めて染み染み語る。

「お菊さんとお岩さんはわしが子供の頃から悪霊として出てきおってな。いつかはあの世へ送ってやると誓ったのだが……まっそんなのどうでもいいや、行く行くっつっといて」

 観音は悪霊共にその旨を伝えると、落ち武者サンバの歌を練習した。


『次回「新章披露宴編」』

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