パンツァーポリス1935

 前回から、かなり間が空いてしまいました。その間に読んでいた分は、やる気が出た時にまとめることにします。


 ***


 暫く電撃はお休みしていたのですが、また読む気になりました。というのも、古い時代の本ならヤル気が出そうだと思ったからです。

 当たりました。一言、良かったです。


 電撃ゲーム大賞時代の第三回受賞作です。表紙イラストからして、ザ・平成(初期)を感じますね。色遣いなんかも、いま見ると、逆に新鮮です。

 口絵はキャラ・メカ紹介と年表で、なんとなくワクワクします。


 飄々としつつ宇宙への夢を追う男性と老いた研究者、その熱意に火をつけられる男勝りな女子、そして立場上彼らの前に立ち塞がらねばならないライバル。成長する空中戦艦。熱い空中戦。夢と犠牲。

 いまのラノベでは、まずチョイスされなさそうな題材です。一昔前は、これらがテンプレだったような気もします。今だと夢を追うにしても、もっと身近な世界で追うものが好まれるんじゃないでしょうか。

 それは、科学が夢を追い求めた先に幸福を見出せないからでしょうか。これが書かれた当時はどうだったのでしょうか。既に古いものだったのか、まだまだ未来は明るかったのか。

 私は、こういうの好きなのですが……。


 文章は歯切れ良い短文で、単純明快。改行がやや多め。メカ関連やファンタジック成分の説明はちょっと頭に入らなかったのですが、やりすぎ感はありません。個人的には、ダラダラ語らずにスカッとしている、中身で魅せる文章でした。憧れますね。私の中のオッサンがそう言っています。


 構成としては、最初と最後がバトルで、そこに割かれるページ数がかなりのものですが、スピード感があり、引き込まれて読んでしまいました。その間の、敵も含めた各キャラの葛藤シーンはセリフ回しも含めて良かったです。鬱々し過ぎないところもスカッとしていて良いです。


 川上稔先生は現役ですよね。

 あの、恐ろしい太さで棚を占領するホライゾンの方ですね。

 デビュー作からこのクオリティというのは、本当にもう凄いとしか……。

 続きの巻はなかなか入手しづらそうですが、某フリマサイトで粘ってみようと思います。


(2021.10.16読了)


 次は急に時代が飛びます。ユア・フォルマを読む予定です。

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