第79話
「なんで彼はここに居ないの?」
適性の儀を皮切りにどこかに去っていた幼馴染は世界を旅しに行くと飛び出していたと言っていた。
6歳児に何ができると大人たちは思っていたようだけど神父様だけは彼はこの村は狭すぎます。
1人で勝手に大人になっていくでしょう。
いいえ語弊がありましたね。
いつまでも子どもの頃の好奇心を忘れないように生きていくでしょう。
今は戦争も無事終わり世界樹の森は偶々起きた雷のせいと言う形で幕を下ろした。
前線で仲良くなった彼らと国を興しもした。
見合い話も沢山来たけど私はあいつ以外とは結婚したくはなかった。
私はなんとなくだけれどもあいつ以外とは結婚できない気がした。
「ははは、勇者となった君には言っておくけど彼はもう死んだよ。」
「し、神父様!?」
かつての村の有った場所は戦地に成り荒野の一部に成っている。
誰も居ないのは解っていた。
でも風の噂で彼が此処に戻ってくると聞いた。
だから私がここに来たのに何故誰も来ないで代わりに神父様が来たのか。
「私はね彼に頼まれていたんだよ。君に自分の場所を教えないようにと釘を刺されてね。」
「私の幼馴染はどこに居たんですか?」
「君が燃やした世界樹、アレを枯れさせるために翻弄していったさ。」
「え?神父様って世界樹教じゃ?」
「私は精霊教だよ。」
そうだったのか、彼は一人で戦っていたのか。
「彼は世界樹に干渉してある程度封印する目途が付いた。君も君で世界樹の森を燃やしたから弱体化された状態で封印することには成功した。でも彼が言うにはあの森は二度と再生しないと言っていたよ。」
「なんで私の幼馴染はそんなことが分かったんですか?」
「彼の職業、ボディビルドトレーナーは身体に関するスペシャリストらしいです。世界樹の身体もこのまま行くとどのような未来が待っているかをきちんと予想していました。」
「……」
なんで自分を頼らなかったのかとは言えなかった。
彼はずっと未来が見えていたのかもしれない。
適性の儀を受ける前からずっと。
既に決まりかけている未来を変えようとするのに声だけで聴いてもらえるとは到底思えない。
大人になった私がそう思うのだから小さいうちからいろんなことを考えていた彼にとっては無意味なこととしかとらえなかったと思う。
彼が話すときは、身体を動かしたりしているときの方が伝わりやすいことが多かった。
「私はお嫁さんには成れないのかな?」
「ええ、そうですね。彼の予想だとあなたはずっと生涯独身を貫くそうですよ。」
「神父様セクハラ。」
「これはこれは失礼しました。」
彼の事だ。
私の身体の未来を想像したのだろう。
「ああ、そういえば彼は女性的特徴の大きい女性が好みらしいですよ。」
スッと自分の断崖絶壁の堅牢な城壁を見る。
王都の流行的には小さい方が良いとされているのに!
「ムキー!」
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