第20話 帰省。

カイト編


 ̄ ̄ ̄ ̄


 見知らぬ受付のお姉さんに身分証と、言われて素直に出した。


 そして…………。


「あ、あらごめんなさい!ランクの高い冒険者だったのね?名前はカイトさんで良いかしら?ギルマスを呼ぶのね?少し待ってて貰っても良いかしら?」

「良いけど、早くお願いします」

「……お待ちを!」


 そう言うと席を立って、奥の事務所に消えていくお姉さん……感じ悪!兄ちゃんなら、ここで切れてる場面だよなぁ……。

 ミーニャ姉さん達は休みかな?

 でも知らないお姉さんだったよね?

 そんなことを考えてたら、バタバタと大きな足音が奥からしてきた。

 あ!あの足音ギルマスだな?ハハハ変わらない! 


【バン!】と大きな音をさせて扉を開いてるよ。

 あの人相変わらず生活音が煩いよね?雑だよなぁ~。


「ようカイト!帰って来たのか?」


 ギルドの事務所中に響く声で俺を呼ぶなよ!

 恥ずかしいからさっ!


「お、おう。ギルマスも、久しぶりだよね?元気だったの?」


 見たら分かるけどね?


「お前……連絡も無しに帰って来やがって!」


 カウンターの前に立つギルマスの腕が、俺の頭に延びて来て大きな手のひらで、頭をわしゎわしゃと撫で回された。


「い、痛いから!止めてよ。痛いよ!ギルマス!なに言ってんだよ!連絡の仕様もないだろ!痛い」


 痛いと言ってギルマスの腕を振り払う。


「ガハハハ!久しぶりの息子の帰還だからな!それで、どうしたよジュリは見つかったのか?」

「うん!見つけたよ!一緒に町に戻ったよ」

「そ、そうか!それは良かったな!何処にいたんだ?」

「そ、それは……良く分からないけどね?会えたよ」

「なんだそれは?ま、そんなことは良いからお前家に行ってろよ。家に行けばフェルトが居る筈だからよ!」

「そ、それが…兄ちゃんがさっマーサおばさんの宿に居るって言うから、そっちに戻るんだ!それと、預けた物を貰おうと思ってさっ」

「はぁ?なに言ってやがる!ジュリも来てるなら一緒に来ればい…」


 ギルマスと話してる途中で【バン】とギルドの扉が開いた。


 な、なに、誰だよ!事件か?

 驚いて後ろを振り向くと、聞き覚えのある声とシルエットが………。

 なんだ、違ったのか事件ではなかった。


 そして、その人物は俺の名を呼んでるよ…。

 夫婦揃って賑やかだよねぇこの人達…。


「カイト!居るの?」

「……フ、フェルト!何でお前…」

「外でジュリとあってね?カイトがここに居るのかなと、思ったから呼びに来たのよ!」

「それは良いな!なら、家に連れて行ってくれ」

「ええ、そうするわ」

「おう!カイト例のもんは後で渡すからよ、家で待ってろよ?ハハハ!」

「えっ……なに?なんで?」

「良いから行くわよ!ほらカイト!」


 腕を掴まれぐいぐい引かれてギルドを出て、 フェルトさんに腕を掴まれ、引っ張られてギルマス宅に連行されるカイトだった。



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