第22話 見たことの無いもの

「カイト?どうする宿屋探すか?」

「ん……未だ明るいよね?なら屋台とか店を回ろうよ?色々見たい」

「なに?なんか欲しい物でもあるのか」

「無いけど……魚って、見てみたいかも」


 魚ね?ああ……興味はあるか?

 俺も久々旨い魚食いたいな………。


「海沿いの市場探して、行ってみるか?」

「うん!早く行こうよ!」


 町中のマップを見ると、何処に何があるのかがすぐに分かる。これは有難い。

 でも、治安は悪い様だ……黄色い点が多い。


(カイト……)


 小さな声で話し掛けると、カイトも小声で返事をしてくる。

 敏い子になりました……。俺、グッジョブ!


(なに、兄ちゃん)

(この町あんま好い人居ないから、気を付けろよ?)

(そうなの?なら抱っこ!なんちゃって。ハハハ)

(コラ!お前大きくなったんだから、甘えるな!ほら、手を繋いでやるから)

(ご免なさい。でも、手は繋ぐ。兄ちゃんも気を付けてよ?マップ見てるの?)

(見てるから気を付けろと、言ってるんだよ!)


「店はこのまま真っ直ぐいくの?」

「そう、このまま真っ直ぐだ」


 手を繋いでカイトと歩く。

 マップで確認出来てる、黄色い点が俺達の後ろを付いてくる。

 ん~これは………誘拐か、喝揚か?いずれも碌でもないやつかなぁ~。まだ様子を見てる感じだな。これは……カイトが居るから気を付けないとな!


「カイトもうすぐ店だぞ」

「分かった。楽しみだね?」


 そして市場に着いたので店を回る。

 流石港町だね?魚屋が多い。

 何を買うかな………だが……黄色が未だ居るから大量には買えないね。

 くそ!邪魔だな。


 あ!マップの点の奴ら魔法で眠らせるか?

 カイトが危ない目に遭うよりはいいか?

 なら………黄色の点に全部にスリーブ。


 すると、後ろの方が……なにか?騒がしくなる。

 フフフ。俺達の後を付けてた奴らを、眠らせたからな、その場で倒れたんだろう。そりゃ~騒ぎにもなる。………でも、俺は関係ない。

 誰も見てないし気がつかないのだからな。


 さて、これで自由に買い物が出来そうだ。

 それにしても、ギルドからずっと後を付けて来たから、あのサブマス辺りが指示出したかな?


 市場の出店を冷やかしながら、カイトに話し掛けて聞いてみる。


「カイトなに欲しい?」

「ん~分かんないよ、前の町とは全然違うもん」

「そうか?あんまり変わらない気がするけど?」

「違うじゃんかよ!あんなの見たことないよ?」

「どれ?」

「あれだよ!あれ。見たことない」


 フム……見たことないねぇ……あ!あたりまえだよなぁ~。

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