第5話
「お父様、酷いじゃないの! 私に黙って勝手に婚約を決めちゃうなんて! それも国王陛下の目の前でなんて! あんなマザコン野郎となんか冗談じゃないわ! 死んでもお断りよ! あぁもう! なにやってくれちゃってんのよ! どう責任取るつもり!?」
舞踏会からの帰りの馬車の中で、カレンはスミスに不満をぶちまけた。スミスもこれは想定の範囲内なので、言うべきことは既に用意してある。
「良く聞きなさい、カレン。貴族として生まれ育ったからには、婚姻して子供を残すということは義務なんだ。政略結婚というのも貴族同士なら珍しいことじゃない。これは双方の家に利益を齎すと判断されたんだ。そしてお前が言ったように、この婚姻は国王陛下からも祝福を賜ったものだ。そう簡単に破棄できるなんて思うなよ? 諦めて愛を育む努力をしなさい。いい加減大人になりなさい。分かったね?」
「ぐぬぬねっ! で、でもでも! どうしてもどうしてもどうしても合わないってなったら、破棄してもいいんでしょ!? お願い! そうだと言って!」
「...とにかくまずはお互いを良く知ることから始めてみなさい」
カレンは不承不承といった感じで頷いた。スミスはホッと息を吐いた。今頃アマンダも苦労しているんだろうなと思いながら...
◇◇◇
スミスの予想通り、舞踏会からの帰りの馬車の中で、ライルはアマンダに不満をぶちまけた。
「母上、酷いじゃないですか! 俺に黙って勝手に婚約を決めちゃうなんて! それも国王陛下の目の前でなんて! あんなファザコンビッチとなんか冗談じゃないですよ! 死んでもお断りです! あぁもう! なにやってくれちゃってんですか! どう責任を取るおつもりで!?」
アマンダもこれは想定の範囲内なので、言うべきことは既に用意してある。
「良く聞きなさい、ライル。貴族として生まれ育ったからには、婚姻して子供を残すということは義務なのよ? 政略結婚というのも貴族同士なら珍しいことじゃないわ。これは双方の家に利益を齎すと判断されたんだから。そしてあなたが言ったように、この婚姻は国王陛下からも祝福を賜ったものよ? そう簡単に破棄できるなんて思わないことね? 諦めて愛を育む努力をしなさい。いい加減大人になりなさい。分かったわね?」
「ぐぬぬねっ! で、でもでも! どうしてもどうしてもどうしても合わないってなったら、破棄してもいいんですよね!? お願いですから、そうだと言って下さい!」
「...とにかくまずはお互いを良く知ることから始めてみなさい」
ライルは不承不承といった感じで頷いた。アマンダはホッと息を吐いた。今頃スミスも苦労しているんだろうなと思いながら...
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