第14話
村にあったはずの家や建物は燃やされ、破壊されていた。
辺り一面に瓦礫が散らばり、白骨化した死体も大量に散らばっている。
人が住んでいるとは思えない惨状と成り果てていた。
村だった空間をじっと見据えたまま、アルスとミリアは何も喋れずにいた。
その中、ウルフだけは何者かの気配を察知できていた。
「誰だ」
村の中で唯一無事な修道院から、長身の男が姿を見せる。
男の姿を確認したアルスとミリアは、驚きの声をあげた。
「神父様!」
「なにが、村に何があったのですか神父様!」
神父と呼ばれた男は口を開かず、ただ微笑むのみであった。
ミリアが神父へ駆寄ろうとすると、ウルフが制止した。
「行くな! お前ら、あれが
「みえるのかって、神父様は昔から僕たちの面倒を……」
いまだ状況を飲み込みきれないアルスは言葉を発することはできるが、頭の中がパニック状態になっていた。
「あれは
「悪魔!?」
神父はなおも笑みを浮かべながら、アルス達のもとに近寄る。そして、口を開いた。
「久しぶりだね、アルス、ミリア。この一ヶ月で見違えるほど立派になった」
「神父様、村に、村に何があったのですか! 山賊に襲われたのですか!」
ミリアは昔から神父に懐いていた。修道院での雑務を進んで引受けては神父に頭を優しく撫でられる。ミリアはその時間がなにより愛おしかった。
「ミリア、これは僕がやったんだ。全部」
「神父様……何を……?」
神父の自白を信じられないミリアは神父の目の前で固まり、動けなくなってしまった。
なおもアルス達に近づきながら話を続ける。
「アルス、僕が君の力を必要になる日がくると言ったことは、覚えているかい」
アルスは黙ったまま神父をにらみつける。
「アルス、君が僕の必要に足る実力を備えているか見せてほしい。今、この場で」
「何を」
言っているんだ、とアルスが問うより前に、神父は聞こえない声量で独り言を始めた。
夕焼けが沈むには不自然な闇が辺りを包み、不穏な気配に押しつぶされそうになる。
「
ウルフは二人に注意を払いつつ、辺りを警戒した。
「さぁ、適性試験の開始だ」
神父が両手を広げると、辺りに転がっていた骨が立ち上がり、アルス達に襲いかかってきた。
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