第4話 アメミヤさんの傘
「アメミヤさんって知ってるー?」
「あー、知ってる!あの傘のウワサでしょ?」
「何それー?教えてー」
こんな話がされるようになったのは、5年生になってからだ。
進級したその日、雨も降っていないのにびしょびしょの透明なビニール傘が傘立てに置いてあり、誰の物だろうとささやかれていた。
クラスメイトの一人が「びしょびしょ ビニール傘 置きっぱなし」とネットで検索してみたところ、都市伝説や怪談といった類のサイトがたくさん出てきたらしい。そのうちの一つのサイトを見てみると、その傘はアメミヤさんの傘で、今もアメミヤさんはその傘を探していて、その傘を勝手に使った人は殺されてしまうというものらしい。
まあ、僕は信じてないけどね。
数日後。
僕はその日、委員会の仕事で帰るのが遅くなってしまい、気づけば雨が降ってきてしまっていた。
それなのに、僕は傘を持って来ていなかった。
昇降口の傘立てを見ても、傘はあの傘しか残っていない。
そう―――――――
少し怖かったけど、それでも僕は濡れたくなかったので、思い切ってその傘を使うことにした。
学校を出て5分ほどすると、雨も止んできた。傘を戻してこようかと思ったけれど、面倒なのでそのまま持って帰ることにした。僕は傘を振り回しながら帰っていった。途中で傘が塀に当たって壊れても全く気にしなかった。
翌日。
クラス中、クラスメイトの一人が殺されたという話でひそひそとささやかれていた。
新聞に乗っていた子の顔写真は、アメミヤさんの傘を使った子の顔だった――――
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