新しい恋




バケモノであるこのぼくが

美しいきみに

恋をしてもよいのでしょうか?


髪に白いものが

混じるようになっても

働くこともせず

飛鳥命などという

布切れをお鉢に巻いて

dvdを観ながら

毎日踊り狂っている

こんなぼくが

きみに恋をする

そんな

資格があるでしょうか


jinsで誂えた

牛乳瓶の底みたいな

レンズを透して

ぼくは毎日きみを

群衆のなかから

見つめています


きみはきのう

バラ色のコートを着て

海を見ていましたね

その光景が

焼き付けを起こした

ディスプレイみたいに

ぼくの視床下部だか網膜に

焼き付いて

離れないのです


この狂おしいほどの

きみへの思慕を

ぼくはいったい

どうしたらいいのでしょう

きみのことを考えるだけで

泣いてしまうほど

きみを愛しています

きみのことを想うだけで

なぜか背中がぞくぞくし

震えるほど哀しくなって

泣いてしまうのです


こんなぼくでも

夢見るくらいは許してください

きみとの幸せな日々を

ぼくの人生にとって

最高最良のときを

子どもは

ふたりくらいで

いいですか?


そして

きょうもぼくは

飛鳥命で

踊り狂うのです

そして

明日も





あさっても


この感覚

ずっと忘れていた

甘酸っぱい

泣きたくなるような

この気持ち


世界は

きらきらと

輝きはじめる

これが

ほんとうの

世界の姿だと

いわんばかりに


恋愛中毒末期患者

心臓を小針でチクチク

刺されるうちはまだいい

胸が張り裂けそうに

疼きはじめる前に

きみのことなんて

きれいさっぱり忘れてやる

そんなこと

実に造作もないことさ

なんて嘯いてみたい


ほんとうは

一日中

寝ても覚めても

きみのことを考えている

きみの笑顔を思い浮かべる

好きで好きで

堪らないその笑顔を


きみを

見失ってしまったら

瞬く間に

世界は輝きを

喪うだろう

病葉のように

そしてぼくは

ちから尽き干からびて

ただ朽ち果てるのみ


嗚呼

恋しいひとよ

ぼくの太陽よ

きみの幸せだけを

乞い願う

きみに幸あれ





きみに幸あれ








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