第14記:大蛇
眼が覚めた。枕辺の時計は「午前8時」を示していた。カーテンをばさっと開けて、外の様子を確認する。昨日の天気が嘘みたいな快晴である。今日は暑くなりそうだ。
台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注ごう…としたら、昨夜の内に備蓄分を使い切ってしまったことに気づいた。仕方がないので、自宅の近所にある24時間営業の食料品店へ向かった。このお店、袋は有料である。袋持参で訪ねる。2ℓのボトルを2本購入して、家に戻る。
買ってきたばかりの水を注いで、湯を沸かす。なんたること。コーヒーを淹れるだけでこの騒ぎである。田舎に住んでいた頃は、井戸水(地下水)を専用マシーンで汲み上げて、飲料水や生活用水にしていた。
贅沢な暮らしだった。愚かなことに、当時の俺は「贅沢感」を、まったく意識していなかったが。水が旨いと、コーヒーも茶も旨い。もちろん、凍らせても旨い。オンザロックに最適の氷ができる。
雑用の類いをやっつけてから、愛機を起動させ、ぴよぶっくを呼び出し、更新作業に没入した。先ずダサクの続きを書く。12章「庭園」も今回で終わりである。予定では「将棋の話」になる筈だったのだが、未だに対局が始まらない。どういうわけだろう、これは。
進行の遅さに我ながらあきれる。あきれるが、書いていて楽しいのは確かだ。それは良いのだけど、誰が主人公なのか、自分でも、だんだんわからなくなってきた。想い出ならぬ「主役がいっぱい」の状態である。どうやら、大好きな『水滸伝』の影響らしい。
ダサクに続いて、ダブンの作成に移る。他のことは何も考えていないが、題材選びのみ、慎重にやる。結果、105次元の素材は、密林の怪物オオアナコンダ、106次元は、ドラマの感想、107次元の素材は、蕎麦屋のカツ丼になった。
今日投稿した三次元の内、即興性が最も高いのは、105次元である。頭に湧いてくるものを、そのまま文字に変換したに過ぎないからだ。指の勢いに任せて、一気に打ち込んだ。蛇嫌いが書いたスネーク・エッセイ。面白さに関しての保障はできません。〔5月17日〕
♞ミネラルウォーターではなく、ミネラル「水」なのは、池波エッセイの影響である。30歳まで、水の綺麗な土地に住んでいた。そのせいか、有難味を理解していなかったように思う。この日の俺は草小説に加えて、草随筆を3頁も投稿したらしい。凄いじゃん。
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