一札投函篇〔2015年の日記〕

第1記:才能

 眼が覚めた。枕辺の時計は「朝の6時半」を示していた。アラームのセット時間よりも30分早い。昨夜は疲れていた。布団に潜り込んだのは「夜の10時」頃。しばらくの間、ラジオを聴いていたが、やがて、眠りの世界に落ちた。不思議な夢を見た。かなり印象的な内容だったが、その話はブログに書くつもりである。記憶が鈍化する前に投稿しなくてはなるまい。


 たっぷり8時間。睡眠さえ足りていれば、俺もまだ活動的でいられる。今日は「洗濯デー」である。最も面倒なことは、真っ先に潰してしまった方が良い。一週間分の衣類を担いで、ランドリーに行くと、無人であった。

 俺としては好都合ではあるが、少しは流行ってもらわないと「クローズの可能性」が出てくる。閉じられると困る。大いに困る。このランドリーはかつてはコンビニだったらしい。俺が引っ越してくる前の話だから、詳しいことはわからない。

 洗濯を済ませてから、近所のスーパーへ行き、食料と水を多めに買い込んだ。篭城の支度である。同店の弁当は吃驚するほど不味いが、まあ、仕方がない。家に戻り、シャワーを浴びてから、コンピューター相手に一局指す。


 後手を選び、機械の強さを「思考レベル5」に設定する。こちらの作戦が成功すると、相手は金銀四枚でガチガチに守りを固めてくる。まったく厄介な奴である。仕方がないので「と金」を大量生産し、一枚一枚、根気良く、敵城の防壁を剥がす。

 高価な駒を保有すると、怒涛の反撃に転じてくるのが、コンピューターのやり方である。大変な手数を費やしたが、俺の勝ち。指し初めを勝利で飾ることができた。でも、将棋は機械じゃなくて、人間と指す方が絶対面白い。学生時代の我が指南役、K君は、教え上手であるのと同時に「負けっぷりが絵になる」素敵な指し手であった。K君、今もやってますかね。


 先ほどから、神木隆之介が案内役を務める「未来予測」を題材にしたテレビ番組を「ラジオで」聴いている。神木君は声優としても活躍しているが、相変わらず、いい声だ。美声である。天性の才能。かの宮崎(駿)監督の評価も高いそうな。短篇で良いから、隆之介主演の活劇動画を一本作って欲しいものだ。その程度の余力は残されているのではないかと思う。


 神木君は写真や音楽もやるらしい。器用な人である。その内、自作の歌を歌い出すかも知れない。複数の才能に恵まれている者(隆之介)もいれば、何ひとつ恵まれぬ者(鍋太郎)もいる。世の中は不公平にできている。人類平等は「理想」であって「現実」ではないのだ。

 神木君は、大河ドラマ『義経』(2005年)で牛若丸を演じ、後の『平清盛』(2012年)で、成長した牛若丸=源義経を演じるという稀有な経歴の持ち主でもある。又、緒形拳、原田芳雄、菅原文太など、大物俳優との共演も多い。実力だけではなく、運力も相当なものだ。〔1月3日〕


♞「クローズの可能性」とか「吃驚するほど不味い」とか、まったく失礼な奴である。将棋の話をしているが、地元のチェスクラブに通い出すのは、この年の夏である(翌年、自己放逐)。神木君は現在も活躍中だが、緒形、原田、菅原の三氏は、あちらに行(逝)かれてしまった。先輩たちの分も頑張ってもらいたい。

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