第13話 男にモテ出す私
「すまんさ。おで…勘違いして…。奴隷商人の仲間達かと思っで…。命の恩人だのに…」
その命の恩人がお前の顔パンパンにさせたけどね。ヴァンサンを見たら
「ん、反省したならいい」
と許した。
「私はオレリーでこっちはヴァンサンよ」
と紹介すると奴隷は
「おで…生まれた時は孤児院に捨てられてて名前は番号呼びなんら。015つうんだ」
「え…呼びにくい!」
とヴァンサン。
「ならヴァンサンなんか名前付けてあげたら?」
「うーんそうだな…じゃあ…パンは?顔パンパンだし」
いや、お前がやったろう?それは。
「おで、今度はあんたらの奴隷になるだか?孤児院の院長が奴隷商人におでを売って…焼印つけられて死ぬ思いで自由を求めて逃げ出して来ただ」
とパンは泣いた。
パンも不細工な顔で産まれたので散々孤児院でも虐められたし奴隷商でもストレス解消に殴られたり蹴られたりしたと語った。人間扱い以下だ。
仕方ないのでヴァンサンがしばらくここへ居てもいいと言ったらパンは喜んだ。
それからパンも私と同じく家事や掃除を手伝う。案外上手い。ずっとやらされてたからだ。
「顔のいい奴隷の美少年はすぐ貴族様に貰われていくんでおでなんか一人残されて邪魔者扱いだべ。なんか言うと殴られるからずっと黙ってただ」
「ふーん、大変だよね。同じ人間だけどやっぱり辛いよね。私なんかブスだけど一応育ちは貴族って肩書きがあったから辛い目には合わずに育てられたけど…」
となんかしんみりとブスと不細工は語りあう。
それになんか面白くないヴァンサンはムスっとしていた。話の輪に入れないからか。
それにパンの服がボロボロだったので私は頑張って余った布で服を作ったらとても喜ばれた。
「わぁ!あんがとー!ごぜーます!奥様!」
と言うから
「ん?奥様?もしや私?ヴァンサンの奥さん?違うよ、私も居候だよ!!ははは!」
とこれまでの事情を話すとパンは
「そうだったんだすか…。………んなら、おで…おで…オレリー様…んや、オレリーさんが好きだす!!一緒になってくで!!」
と赤い顔で言う。はあああ!?
ここ数日で仲良くなっただけで結婚申し込まれたがお前元奴隷やろ!金もねーくせに何言ってんだ!!
「おで、頑張って働いて金を貯めるからいつか!きっと!!家を持とう!」
と言う。ええ、どうしよう!?不細工に告られても全然嬉しくない。失礼ながらお前その顔で…おや、待てよ?
もしやブスだから!?私がブスだから自分と釣り合うと思ってのことか!?それだ!!
なんとなくショックなんですけどー。
世間のブスと不細工な夫婦ってそういう理屈でくっ付いてたりするんかもなー。いや、失礼だが!
だって考えてみたら自分がブスなのに美青年や美女と結婚できるとは思えん!現実的に!
ここは妥協した方が身の丈に合うのだろうか?こいつに家事やらせておけば家の中はピカピカだろうし。
いやいや、そんなこと安易に決められん!
するとヴァンサンが入ってきてボコリとパンを殴った。
「オレリーに近づくなっ!!」
って叫んだ!!ヴァンサン…自分ちの犬が取られるの嫌なんだろうなぁ。
と思ってたら
「オレリーは俺と結婚すんだからなっ!」
と言ったから流石に私も驚いたわ!!
何いいい!なんか変なものでも食べたのかヴァンサン!吐き出してくれ!!
なんか天然イケメンと不細工がバチバチ火花散らしておる!!こんなこと人生であったか!?私今…
モテてるーーーーー!!!!
すげえ!ブスでもモテるんだ!?夢か?男共の美的感覚がおかしくなったのか!?
するとそこにバンと扉を開け入ってきた男がいた!!
「オレリー様!!僕と結婚してくださいーーー!!!」
と!!
なんとそれは元クソ婚約者のジョゼフだ!!
ななな何でここが!?
するとにゅっと顔を出したのは御者台のお兄さんことダレイラクさんじゃないかい!?
あんたかよ!?このクソ野郎に教えたの!!
「オレリー誰この方?」
ヴァンサンが睨み、パンも手を隠し
「今、結婚してって…言っただす」
それにクソ野郎は
「オレリー様、貴方が居なくなりあの三人が僕を求めて大変なのです!!」
知らんがな。
「代わる代わる僕を誘惑して毎日やらしいこと三昧で離してくれず、すっかり疲れ果てて気付いたのです!貴方と何もせずお茶をする素晴らしい休息時間を!!あの時の僕は女の執着から逃れ大変に活きいきとした時間だったのだと!」
それは違う。ヤリ疲れたから休憩しとっただけやろ!!お前どんだけヤッてんねん!て話だからな!?
お前それで私と結婚して何もない休息時間が必要と思ってプロポーズしてきたな?おいこのクソ野郎ほんとにどこまでもクソでしかないぞ!!
しかしクソ野郎は
「ふふ、平民の皆さんはすみませんが引いて下さい。オレリー様は僕と結婚します!」
と勝手に言いやがった!!
こいつはクソ野郎だが一応貴族なんだよね…。
人生初のモテ期だがいろいろなんか違うモテ方しとる私だった。
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