待ち合わせ
時計の針を見る
さっきから全く進んでいない
あなたは来ない
改札口の前
最後に会ってから
半年が過ぎようとしていた
電話の会話も
どこか上の空
どこかの仲良しのカップルが
楽しそうに通り過ぎていった
なんでこんなに
切なくなるのだろう
手の中でスマホが振動する
メッセージを見ると
ごめんバイトで遅れる、と
その一言
もう帰ろうかな
足が棒になりそうだし
いっそ
そう思うけど
足は動かなかった
時計の針を見ると
さっきから全然進んでいなかった
なぜ時間は楽しいときは
あっという間に過ぎていくのに
心細いときは
こんなにも長く感じるのだろう
身体まで
心まで
時間が止まってしまったように
直立不動で立ちすくむ
でも、あなたと会える楽しみで
溢れていた心の砂時計だけは
少しずつ落ちていって
もう下の不安で一杯だ
そのとき
改札を出てくるあなたの姿が見えた
そのとき
体温が戻ったのを感じた
胸に熱いものがこみ上げるのを感じた
手を振るあなたに返しながら
心の砂時計を裏返す
時計の針はもう動き出していた
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