第622話 小烏丸vsソフィア
湖で身体を洗ったついでに、練乳でベトベトになった人形達も洗っていく。
城に帰ったら、玉座の間とか廊下とかに飾るつもりだからだ。
いや、市松人形みたいなホラー系は除外な!
六足歩行のドッキドキ野郎もマジでキモいから、当然ホラー系として扱う。
ってかあんなのまで大量に拾ってくることなかったのに、ミスフィートさんが片っ端から回収しているのを見たんだよな~。
どこかの部屋に放り込んで、ホラーハウスが誕生するのはもう確定だろう。
流星城が呪われなきゃいいが・・・。
ゴシゴシゴシゴシ
「オーーーーーーーーーーーーーーーイ!!」
大声で呼び掛ける声が聞こえたので振り向くと、そこにいたのはソフィア隊の面々だった。
・・・でもソフィアだけいないな。
「みんな31階層まで到達したんだね!おめでとーーーーー!!」
「そうだ!ちょうど果物を収穫して来た所だから、みんなで食べようよ!」
「「果物ですって!?」」
「親父、メロンが食えるぞ!」
「食い倒れ野郎なんか洗ってる場合じゃねえ!」
洗いかけの人形はそのままにし、陸に上がった。
「これって、スイカじゃん!」
「パイナップルもあるぞ!!」
「黄色くて大きなミカンもあるな」
「それはグレープフルーツですね」
「全部食べられるヤツだから、みんなどんどん食べてね!」
思った通り、大物クラスの果物が収穫出来る階層だったか!
「ところでソフィアはどこだ?」
「夜伽があるから精神集中するんだってさ~。昨日から来てないよ」
「あーーーーー!そういや今夜だったか・・・」
なぜか嫁達は夜伽の前日から二日かけて精神統一に入り、着床率を高めようとするんだよね。
どれほど効果があるのかはまったくもって不明だけど、変に質問して藪を突くような真似はしない。嫁達が本気なのは確かなのだから。
「小烏丸!スイカだよスイカ!やっぱり31階層にあったんだね!!」
「おっ、和泉。たぶんソフィア隊は奥の方まで探索してないと思うから、明日からまた忙しくなるぞ~」
「っていうか、そのために31階層まで来たんだから、喜んで探索するよ!」
「まあな。とりあえずスイカを切ってくれ!」
「はいは~~~い!」
昔、和泉の為に超絶強化してやった『まな板』の上に、おそらく30cmくらいある大玉スイカが乗せられた。
ちなみにこの『まな板』なんだけど、ガチャ産の特別製なので、[斬撃耐性+++][刺突耐性+++][衝撃耐性+++][魔法耐性+++]が付与してあり、そんじょそこらの武器や魔法では傷一つ付けることが出来ない、最強の『まな板』なのだ!
鑑定した和泉が『まな板強すぎ!』って、腹を抱えて大笑いして転げ回ってたな。
「この大きさだと脇差で斬った方が良さそうね」
「スイカくんよ、木の棒で割られたり刀で斬られたり大変だな・・・」
「包丁の方が手間なの!」
「わかってるわかってる」
シャッ シャッ シャッ シャシャシャシャシャシャッ
凄い手捌きで四分の一にカットされたスイカが、一瞬にしてあの食べやすい大きさに斬り揃えられた。
「「速っ!!」」
「どんどん斬ってくから、みんな遠慮せずにジャンジャン食べてね~!」
「やったーーーーーーーーーー!」
「メッチャ美味そうじゃん!!」
「スイカって外見は少し毒々しいが、中は真っ赤なのだな!」
「よし、食ってみよう!」
赤い果肉を口に入れた途端、糖度全開の最高のスイカだということが分かった。
メロンも最上級だったけど、スイカも間違いなく最上級だ!
「「おいしーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
「こりゃ美味え!!」
「31階層まで来た甲斐があった!」
「これは・・・メロンと互角かも!?」
「私はこっちの方が好きかもしれない!」
「はい!パイナップルも切ったよ~。こういう場所では豪快に手掴みでどうぞ!」
当然ながら、パイナップルも糖度が半端なくて美味かった!
「「うんまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
「どいつもこいつも全部美味い!このダンジョンの果物は全部最強だ!」
「ひと暴れした後だから、糖分が身体に染み渡るな!」
「幸せ~~~~~~~~~~!」
子供達もスイカを片手に楽しそうに騒いでいた。
「美味いのじゃーーーーー!」
「がんばって歩いて来てよかったねーーーーー!」
「おいしーーーーーーーーーーーー!」
「くだものぜんぶすき!!」
子供達の保護者であるマリアナやルルやパメラも、皆楽しそうに微笑んでいる。
今回のダンジョン攻略はすごく大変だったけど、ソフィア隊が運んで来てくれた果物のおかげで、最後の最後に皆が笑顔になれて本当に良かったな!
休憩の後で人形洗いを再開したが、帰る時間も迫っていたので、人形は魔法でちゃっちゃと乾かした。
そしてようやく俺達一行は、定員オーバー状態のバスで城へと帰って行った。
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ガチャッ
気合を入れて今宵の対戦相手の部屋に入ると、床に広げられたシルバーウルフの毛皮の上で正座をしていたソフィアが、ゆっくり目を開いた。
「来たわね」
「待たせてすまなかったな」
「いいわよ、その分頑張ってもらうだけだから!夜はちゃんと眠れた?」
「80人でダンジョンで寝泊まりしたもんだから、初日は少し寝不足だったけど、二日目は鎧軍団で苦労したからよく眠れたぞ!」
「それなら良かったわ。さてと!長い間待たせたんだから絶対に妊娠させてよね?今夜は眠らせないから!」
「ほう?全力で来いと?」
「当たり前じゃない!手抜きなんて許されないからね」
「了解した。持てる全ての力と技でお相手致そう」
「うわ、ドキドキしてきたーーーーー!」
「赤い流星、参る!」
当然ながら、ダンジョンで何日も禁欲生活をしていた俺の精力は漲っていた。
俺に全力を出させたソフィアがどうなったかは、言うまでもないだろう。
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