第2話「打撃の威力」
その二「打撃の威力」
テクノスジャパンの前作は『熱血硬派くにおくん』でした。
『ダブルドラゴン』と『くにおくん』どちらも少数対多数の格闘戦ですが、大きな違いがあります。
違いは……SE!(効果音)
くにおくんの打撃音は「パシッ!パシッ!わー」ですが、ダブルドラゴンでは「ドスッ!ゴスッ!グエッ!」
ブーツごと相手の顔面を蹴り込むような【ハイキック】、短い間合いから鼻っ柱に不意に叩き込む【チョーパン】(私はチョーパンと言う言葉をゲームのインストカードで読む事になろうとは思ってもいませんでした!)に代表されるように一撃の重さが全く違います。不良学生の抗争と世紀末バイオレンスの違いですね。
そしてお待たせしました恐怖の【肘打ち】!
自分の後方に振り向きざまに肘を叩き込むこの技は威力と共にその異常なリーチの長さで猛威を振るいました。相手は無防備に近づいてきてくれるし。
【肘打ち】を封印してのクリアは中級者なら誰しも通った道ではないでしょうか。
一方続編の『ダブルドラゴン2』の肘打ちは間合いも短く、さほど有効な技ではありません。
弱体化した肘打ち。
逆説的ですが、ここにも双截拳最強のカギが隠されているのです。
一対多数の格闘戦の最中、相手に背を向け無防備になることは文字通り命取り。
これを好機と見て全力で攻勢に入った相手の虚を逆に突く技が双截拳の【肘打ち】なのです。
同様に敢えて背中を向けて相手を攪乱させる技術体系としてはデッドオアアライブシリーズの【霧幻天神流覇神門】が挙げられます。
闇の武術である忍術の更に影である【覇神門】と【双截拳】。お互いに技術交流があったとは考えられませんので実戦を繰り返すうちの収斂進化的なものなのでしょう。
初代『ダブルドラゴン』クリア後。
リー兄弟に壊滅させられた敵集団ブラックウォリアーズの生き残りの間では「双截拳の肘、おそるべし」との風評が囁かれたことでしょう。
リターンマッチである『ダブルドラゴン2』で【肘打ち】が弱いのは、相手が用心しているからなのです。
しかし、そこが武術素人の浅はかさで彼らは双截拳の恐ろしさを全く理解していませんでした。
新生ブラックウォリアーズの面々は背中を向けた状態から素早く蹴り込まれる【バックキック】の前に次々と餌食となっていきます。
『相手が肘を警戒しているのなら蹴りを使えばよい』
恐ろしいのは肘技ではありません。常に360度の殺傷能力を維持し、また技を使い分ける柔軟な戦闘法なのです。
無論、冒頭に申し上げた【ハイキック】のように正面からの打撃の重さがあるからこそ相手はリー兄弟の背後を取った際に好機を得たと錯覚するのです。
王道詭道を併せ持つ双截拳の実力が分かって頂けたでしょうか。
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