第6話

早速、料理に取りかかる事にした。


今日のメニューはシチューとカボチャの煮付けと卵かけご飯らしい。

献立は全て乃愛が決めている。流石、乃愛。


乃愛はすぐさま包丁とまな板を用意すると人参とキャベツをみじん切りにしていった。


手際が良く、スピードも早い。

料理する時の乃愛はポニーテールにして、ピンクの三角巾をしている。まさに料理できる女性に生まれ変わっている。かっこいい。


「乃愛、料理上手だな。手も怪我してないし、良いペース」


さっさっさっさと切っていく。丁寧に素早く、細かく切っていた。


「それでそれはシチューに使うのか? 俺、あんまり料理詳しくないから」


「違う。単に料理できるアピールがしたかっただけ」


「なんだよ」


その無駄行為に呆れてしまった。


「何かに使えるかもしれないでしょ? スープに入れるとか」


「シチューとスープは合わない」


心機一転、再度料理を始める事になった。


今度こそ乃愛はシチューの具材を三角切りにしていった。いつ使うのか分からないみじん切りにした野菜を脇に置き。


料理が上手いのは変わらず。


手を丸くしているのも知っている証拠だった。当たり前かもしれないが。


「じゃあ、たくま君わたしと霞が入れるから混ぜて混ぜてー」


声が相変わらず可愛い。と、気を取られていると伊織にしゃもじを渡された。


霞は怪しげな粉を持っている。まさか、食べ物じゃない下手物ゲテモノだったりして。


「ここには魔の成分、邪心が込められてる魔法の粉なのだー!」


「あ、小麦粉じゃん。良かったー」


袋にはちゃんと小麦粉と書かれている。疑ってしまって申し訳ない。


何度も繰り返し混ぜていると腕が疲れてくる。


乃愛も野菜を投入している。二人同時というのがまた苦難だ。


ある程度、とろとろにしたら

「もういいよ」と乃愛に言われた。


乃愛が全部野菜を投入し終わって、霞も小麦粉や水などを入れ終わったら乃愛が一人で仕上しあげとして混ぜていた。


結構、腕にくるし、小柄な体だと余計疲れるだろう。料理上手だから慣れてるのか?。


「手伝うよ」

そう言って乃愛の後ろに回った。


しゃもじを二人で持って混ぜた。

乃愛からは良い香りがしてきた。シチューの香りと相まって、すごく良い香りになっている。

何だか後ろから抱き締めてる感じになってしまった。


「混ぜ混ぜ。混ぜ混ぜ」


ふんわりとした声でそう唱える乃愛。

萌え死にそうになる俺。


どうにかしてくれよぉ。乃愛のこと、好きになっちゃうかもしれない。というかもう好きなのだろう。


あっという間に終わってしまった。まあ、仕上げだからな。


それから後は大きな入れ物に入れてスープ皿に分けるだけだ。それは伊織の係らしい。










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