【★】三つ編みのフィーナちゃん【新聞紙/三つ編み/学校】

私には不思議な力がある。

作ったお人形に心を与えることができるのだ。

私には友達がいないから、新聞紙を使ってお人形のお友達を作っている。

今のお気に入りは私と同じ三つ編みの女の子、フィーナちゃん。

フィーナちゃんはとってもキュートだけど、ちょっと物騒な事件の記事で作られているのがポイントだ。


私は学校でもフィーナちゃんとお話をして、休み時間を過ごしていた。

フィーナちゃんは物騒な記事で作られているので発言も結構物騒だ。

私に害をなす人間は殺してやるとかなんとか。


「サイアク」

教室ヒエラルキー最強のマリアちゃんが言う。

パパに三つ編みにしてもらったのに私と髪型が被ってしまったからムカつくとかなんとか。

マリアちゃんは私の机を蹴り飛ばし、私の三つ編みを無理やりほどいて、フィーナちゃんを踏み潰した。


やめて!私は思った。

フィーナちゃんは私にはとっても優しいけど、中身はかなり物騒な性格だから、マリアちゃんに仕返しをしてしまうかもしれない・・・!


***


「センセーってここの出身でしょ?フィーナちゃん知ってる??」

教育実習で訪れた母校の小学校。生徒が私に聞いてくる。

なんでもこの学校は呪われていて、女子が三つ編みにしてくると、フィーナちゃんという人形が現れて、給食に毒を入れられてしまうのだとか。

だから、女子は三つ編みにしてきた日には給食を食べてはいけないのだ(そしてこっそり、お菓子を食べる!)


ちょっとわかんないかな、と子供たちを授業へ戻す。

ちゃんと回避できるルールまで出来たんだ、と思う。おまじないってそういうものだ。

あの後、マリアちゃんは給食の後に急に具合が悪くなり、盛大な嘔吐をしてしまった。

そして苦しむマリアちゃんの目線の先には、潰れたフィーナちゃん。

フィーナちゃんの顔には、"毒殺"の文字。数日前にあった事件だ。

怯えて取り乱したマリアちゃんは教室を飛び出して、学校中に吐瀉物を撒き散らし、そのヒエラルキーを失った。


フィーナちゃんの呪い。

私には不思議な力がある。

私を守ってくれる友達を作り出すことができる。

フィーナちゃんが私を守ってくれたのだ。

マリアちゃんの給食に、掃除用の洗剤なんて入れていない。本当に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る