第170話 母は強し
「話は聞きましたよ、あなた、私がお腹を痛めて産んだこの子を処刑するなど何事ですか!」
皇帝の部屋が突然開かれ、豪勢な装飾が施された女性が中に入ってくる。
「お、お母さま!」
「おふくろ!」
「テノン!こんなところでいったい何をしているんだ。」
第一皇女、第四皇子、皇帝の順に部屋へと入ってきた人間に驚いている。そう、彼女こそ、今から処刑されそうになっている第四皇子の母親でもあり、この国の皇帝の妻でもある皇妃なのだ。
「こんなところで何をしているんだ、ではありません。たまたまこの部屋の前を通ればなんということを話しているのですか!この子を処刑するなんてあなたは本当にこの子の親なのですか!」
皇妃は自分がお腹を痛めてまで産んだ第四皇子を彼らがそろって処刑したがっているのを聞いて怒りを露にしていたのだ。
しかし、皇帝にも言い分はあるのだ。今の段階ですら、第四皇子のせいで多大なる不利益を被っているのに、このまま彼を生かしていれば後々、何をやらかすのか分かったものではない。
「テノン、こいつがどれだけこの国に不利益をもたらしたのか分かっているのか!」
皇帝は第四皇子の短絡的な行いでクレハという人財がこの国からいなくなってしまったのかを話す。しかし、そんなことは皇妃にとって関係ないのだ。
「そんなことは関係ありません、たかが砂糖を作れなくなったくらいで何です!そんなもの、元から作れなかったのですから気にすることはないのです。」
その反論に皇帝は黙り込んでしまった。そんな皇帝を見て次は自分の番だと、テクネー王妃が第四皇子のせいでクレハとの接触を行えるチャンスが無くなってしまい、迷惑をしていると話す。もちろん、このまま第四皇子を処刑しなければ帝国とは戦争だと声を高らかに上げる。
しかし、そんなテクネー王妃の強気の対応にも皇妃はたじろがない。
「あら?確かにそのクレハという子が帝国からいなくなってしまったのはうちの子のせいかもしれませんが、あなたが出会った時にクレハにその話をしていればよかった話ですよね?
貴方がクレハと話している時にこの子が馬鹿なことをしたのではないですよね?なぜ、その時に話をしなかったんですか?」
テクネー王妃は皇妃にそう言われてしまい黙り込んでしまう。聞かれたことに対する理由など、答えようと思えば答えることが出来る。だが、恥ずかしくなってしまい逃げ出してしまったという事実など、流石に恥ずかしくて話すことが出来なかった。
こうして、皇帝も、テクネー王妃も皇妃に対して何も反論ができなくなってしまうのであった。
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