第152話 再び登場クネ!
本日は帝国万博二日目、昨日は用意していたケーキがあまりの人気に完売してしまった。クレハの考えでは一日に1000個程度用意していれば問題ないと考えていたが反響はすさまじく、足りなくなってしまったのだ。
「ルーク、今日は昨日の倍の2000個を用意しますよ。私達も作業を手伝いましょう。1000個であればこの人数でゆとりをもって作れると考えていましたが2000個であるならば圧倒的に人手が足りませんから。」
「分かりました、僕もたくさん作りますよ!でも、オーナーは接客をする必要があるんですから作業はほどほどにしておいてくださいね。
「ケーキの制作は僕に任せてください!こんな時のために僕がいるんですから。」
ルークは自分にまかせてくれというように自らの胸を叩く。
「ありがとうございます、それではルークに任せますね。私もお客様がいらっしゃるまではケーキ作りに専念しますよ。」
こうして二人も加わり、ケーキを焼いていくのだった。それから、万博の二日目が始まる時間になり、昨日の万博でケーキを食べることが出来なかった人間が今日こそはと押し寄せてくる。クレハはそんなお客たちの接客を行うのであった。
そんな彼らもケーキを食べることができ、満足して帰っていくと忙しさもひと段落する。すると、クレハの元に二人の女性が何やら言い争いをしながら向かってくるのだった。
「まったく、これだからガラクタ王国の王妃は困るクネ!潔く負けを認めればいいものをクネ。」
「あら、私の国のものを見ていないのに負けを認めろだなんて鉄くず王国の王妃様は流石としか言いようがないわね。自分たちが劣っているから先に負けを認めさせないと負けてしまうのよね?」
「はぁ~!そんなこと、万に一つもあり得ないクネ!いいクネ、仕方ないからガラクタ王国の出店を見てやるクネ!」
クレハが声の主を見ると、そこにはテクネ―王妃とナタリー王妃の二人が言い争いをしながら喧嘩をしていたのだ。会話の内容から察するに二人は先ほどまで、オリクト王国の出店ブースを見学していたのだろう。
そして、テクネ―王妃はナタリー王妃に毎年、負けているのだからもはや今年はコーカリアス王国の出店ブースを見学する必要がないと言っていた。しかし、今年はそうはいかない。
ナタリー王妃はクレハのことを少しだけ見るとウインクをしてクレハ以外の出店ブースへと案内していく。どうやら、彼女はクレハのケーキを最後に回すようだ。
他の出店者の商品を見せ、大したことがないと思わせておいてからクレハのケーキを食べさせるのだろう。勝負に勝ったものだと油断している状態でそんなことをされてしまえばどうなるかなど予想がつく。ナタリー王妃の企てに笑いを必死にこらえるクレハであった。
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