四章 露店祭
第52話 久しぶりの再会
いつものようにクレハたちは商会にて接客を行っていた。そこには久しぶりの人物が訪れる。
「お久しぶりです。クレハ様、例の商業組合でお世話になって以来ですね」
そこに現れたのはノイマン商会の会頭ノイマンであった。クレハは久しぶりの再会に笑みを浮かべる。
「お久しぶりです、ノイマンさん。商会にいらっしゃるなんてどうされたんですか?」
「そろそろ、露店祭の季節がやってきますからね。ぜひ一度クレハ商会と競ってみたいと考え、出店されるのか聞きに来たんですよ」
ノイマンの話にクレハはよく分かっていない顔をする。それを見たノイマンはクレハが露店祭を知らないのではないかと尋ねる。
「おや、露店祭をご存じないですか?」
「はい、初めてお聞きしますね。それはいったいどのような催しなのですか?」
クレハはノイマンに露店祭がどのようなものなのかを尋ねる。クレハの問いにノイマンは露店祭がどのような催しかをクレハに解説する。
「露店祭とは毎年コーカリアス王国の王都で開かれる催しで、期間は2日間になります。そこで各商会の商人たちが自らの商会の威信にかけて露店を出し合うのです。露店に出店する商品は食べ物でも小物雑貨のようなものでも何でもいいです。大会委員会が2日間の売り上げを集計し、その金額が最も多い商会が優勝です。そのため、たくさん商品を売っても、単価が少なければ意味がありません。また、この露店祭で一番売り上げが多かった商会は国王陛下から褒美を頂けるため、商会からすれば陛下にお近づきになれるチャンスなので、どこの商会もこぞって参加するのですよ」
クレハは露店祭の説明を聞き、どのようにして売り上げ方法を計算しているのかが気になる。
「ノイマンさん、売り上げが一番多い商会が優勝と言われていましたが、どうやってそれを計算するんですか?まさか、自己申告なんてことはありませんよね?」
「ああ、それを言い忘れていましたね。大会期間中は大会委員会がお金を大会用のコインに換金してくれるんですよ。もちろん出店中の商会は換金できませんけど。これは不正防止のためらしいです。このコインを客は商会に支払い商品をもらいます。そして、商会はこのコインを大会委員会に提出することによって実際のお金に換金してもらい、売り上げを集計するのです」
「なるほど、それなら不正防止にもなりますよね。それに私もお祭りは好きですし、何より面白そうです。私の商会も参加することにします。ノイマンさん、その露店祭の参加はどのように行えばよいのですか?」
クレハは露店祭に露店を出店することを決める。そして、どのようにすれば参加が可能なのかをノイマンに尋ねる。
「王都の大会委員会に出店したいことを伝えればそれで大丈夫ですよ。すでに参加のエントリーは始まっているので今から向かえばよいと思いますよ」
「分かりました、ありがとうございます。今日にでも向かってみようかと思います」
「そうですか、クレハ商会も参加されるんですね。クレハ商会は奇抜なアイデアで様々な商品を売り出していますからね。うちとしても良いライバルになりそうです。それでは私はこれくらいで失礼しますね。クレハさん、ぜひ勝負です」
ノイマンはクレハに勝負を持ち掛ける。クレハはそれに応じ、受けて立つ。
「こちらこそ出店するならばトップを狙いますわ。優勝はクレハ商会が頂きます」
その言葉を聞き、ノイマンは笑みを浮かべながら去っていった。クレハの新たな目標が決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます