第47話 アルタル王国・宰相の失態

ここはアルタル王国の王の執務室。そこには宰相が呼び出されていた。


「どういうことだ!貴様は岩塩が見つかったから、それをネタにして各国から様々な利権を手に入れることができると言っておったではないか!それが、ふたを開けてみればコーカリアス王国は塩が用意できたから必要ないと断られ、他国も難しい条件を付けられるよりはコーカリアス王国から購入すると、どこも取り合わなくなってしまったではないか!これでは元のままの貧乏国ではないか!」


アルタル王は諸国会議で騒いで帰った夜に宰相から各国がアルタル王国に塩を求めてくるため、他国の利権などを要求すれば良いと言われていた。当初、王は岩塩が見つかったのであれば、早速他国に売りつけて自らの生活を豪勢にしようと考えていた。しかし、宰相が利権を求めるほうが良いと王に進言したため、王はさらに儲けることができるならと進言を聞き入れたのだ。


しかし、ふたを開けてみればどの国も岩塩を買うことがなかった。自らの言うように初めの段階で売っていたら今頃は莫大な利益が転がり込んでいたはずであったため、王は宰相に対して怒りをあらわにしていた。


宰相はその言葉に言い返すことができず、ただ謝ることしかできなかった。自らの招いた発言によって利益を得られなくなったのは事実であり、ここで反論などしようものなら王に何をされるか分からないからだ。


「申し訳ございません。どうかお許しを、コーカリアス王国が塩をここまで所有しているとは思ってもみなかったのです」


「うるさい!それを考えるのが宰相である貴様の仕事であろう!」


王の怒りはなかなか収まることはなく、宰相が王の部屋から解放されたのはその夜であった。宰相はこれ以上失態は重ねられないと、次の政策を考えるのだった。


「次はなさそうだな、必ずや王に利益をもたらすような策を考えなければ私は消されてしまうかもしれない。何か、考えなければ。それにしてもコーカリアス王国め、なぜ急に塩の所有を公表したのだ。しかも噂では国中に普及できるくらい所有しているというではないか。質も我が国のものより良いと聞くし。くそ、なんて間の悪い時に公表してくれたんだ」


宰相はコーカリアス王国に悪態をつくも、次の政策で成功させなければ自分の身が危ないと感じており、コーカリアス王国が新たな製法を編み出したのだと考えつくことはなかった。自らの考えた策によってコーカリアス王国に多大な利益をもたらしたことを知らずに。

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