第25話 代官の最期
代官はいつものように自分の財産を眺めて優越に浸っていた。彼は代官になってから財産がどんどん増えていき、それを眺めるのがいつもの楽しみとなっていたのだ。
そんな彼の部屋に屋敷の人間が慌ただしく入ってくる。
「代官様、騎士が、騎士が屋敷の中に入ってきました」
「何?なぜ騎士が来ているんだ?」
彼らはなぜ騎士たちが来ているのか分からず、話し合っていると騎士たちが流れ込んでくる。
彼らは殺気立った様子で、代官に武器を向けている。
「代官、無駄な抵抗をせず、投降しろ」
「お前たち、誰の許可を得てこの屋敷に入っている。それになぜ私が投降しなければならない」
そんな彼に対して許可を出した人間が名のりでる。それは騎士たちを率いてきた王妃だ。彼女は代官が馬鹿な政令を出したせいでピトリスの街に活気が失われていることを知っていた。その上、自身がこれから贔屓にしようとしているクレハ商会に対して衛兵たちを差し向けた張本人なのだ。彼女は顔ではニコニコ笑っており、一見怒っているようには見えないが心の中では、荒れに荒れていた。簡単に言うと彼女はキレていた。
「許可したのは私です。あなた貿易都市であるピトリスで商売のできるものを制限するなどという愚策を発令したのですよ。代官の資質がありません。直ちに解任といたします。このことはあなたの仕えている男爵にも確認済みです。また、代官として得た賄賂などの財産はすべて没収します」
「なっ、何を言っている!俺を解任するだと!それに、財産を没収するだと!ふざけるなよ」
代官は王妃に言われたことに対してカッとなり机にあった置物を王妃に向かって投げつける。その光景を見た騎士たちは王妃を守るとともに、そのようなことをした代官を取り押さえる。
「きさま、王妃様に手を上げるとは、ただでは済まさんぞ!今すぐ私がその首を切り落としてくれる!」
「やめなさい、そのものは王都に連行して裁判にかけます。王族である私が法を守らなくてどうするのですか?」
その発言を聞いた騎士は代官の首を切り落とそうとしたが、それをやめる。代官は今にも自分の首が切り落とされそうになったショックで先ほどの威勢は瞬く間になくなってしまった。
その後、代官は王都に連行され裁判の結果、自らの権力をかさに立てて私腹を肥やしたことと王妃に対しての暴行未遂の罪で終身刑となる。
代官が連行されていったあと、王妃とサラはクレハの元に向かい目当てのパンを買いに行くのだった。
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