第20話 王妃の本気
王妃の計らいによりちゃっかり自分のパンを手に入れたサラだったが大事なことを忘れていたことを思い出し、そのことを王妃に告げる。
「はっ、そういえばこのままではパンを買うことができないのでした。どうしましょう」
「サラ、それはいったいどういうことなんですか?パンを買えないとは」
「王妃様、どうやらピトリスの街で商品を販売するためには許可が必要とのことで、それがない商会は商売を行うこともできないらしいです」
王妃はサラから言われた信じられない報告に先ほどの朗らかな表情から一転して怒りの表情に変わっていた。
「貿易都市であるピトリスで自由に商売が行えないとはどういうことですか。それではピトリスの街の活気が失われてしまいます!そのようなことをした愚か者はどこの者ですか?」
王妃は馬鹿なことをしでかしたものを突き止めるため近くにいたメイドにピトリスを現在治めているもののことを聞き出す。
「王妃様、あの街は男爵家が納めている領地ですが、現在は療養のために代官が街を治めています」
「そうですか、直ちにその男爵の元に行き、代官を解任させなさい。必要であれば私から騎士を出しましょう。貿易都市であるピトリスで商売を行えないということはこの国に影響する重大な事態です。もしも、男爵もこのことを知っていて隠していたのなら、すぐに連行しなさい」
「かしこまりました。直ちに騎士と共に男爵の元へと向かいます」
メイドたちは王妃の命令を遂行すべく、男爵の元へと向かう。
「クレハ、必ず愚かなことをした代官をとらえピトリスの街にできた愚かな政令を撤廃させます。私の名に懸けて。ですから次にあなたの商会を訪れた時にはぜひ商品を売ってくださいね」
先ほどの怒りの表情は何だったのか王妃はクレハにやさしい顔を向ける。
「もちろんです王妃様、次回、王妃様がお越しになられた際は従業員一同でご対応させていただきます」
「ありがとうございます。クレハ、さっ、あなたはもうお帰りなさいな。これから忙しくなりますね。必ずピトリスの街で商売をできるようにしますので、もう少しだけ待っていてくださいね」
「感謝いたします、王妃様。それでは失礼いたします」
クレハは王妃にお礼を告げ王城を去り、ルークの待つクレハ商会へと帰っていく。
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