佐々波の帰国

第78話 ポートモレスビー・ジャクソン国際空港:2024年1月

(佐々波三郎が、パプア・ニューギニアを立つ)


2024年1月。パプア・ニューギニア。ポートモレスビー 。ジャクソン国際空港。

アナウンスが告げていた。

「成田行きPX54便はもうすぐ東京に向けて、出発します。

これが、ファイナルコールです。乗り遅れないようにお気をつけ下さい」

飛行機のドアが閉められた。

シートベルトの説明が始まった。

佐々波は、1年前のことを思い出した。短期の出張のつもりが、とんだことになり、足止めをくらった。しかし、コロナウイルスに感染しなかっただけでも幸いかも知れない。まさか、パプア・ニューギニアに1年近く住むとは、予想しなかった。

佐々波は深く息をしながら、シートベルトを締めなおした。

飛行機は、夜行便だ。明日の朝には、成田に着いているだろう。

もう、1年近くになる。妻も、首を長くして、帰りを待っているだろう。

佐々波は、窓から見えるポートモレスビーの街に、なつかしさすら感じていた。「1年は、長かったな」そう、自分に、言い聞かせた。

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