第4話 ピンチヒッター:2022年5月
(佐々波が怪我をして、鈴木部長がピンチヒッターを務める)
2022年5月。東京。T商事。海外システム部長室。
「部長。佐々波さんから、怪我をして、明後日の講演会の仕事が出来ないという連絡が入りました」
秘書の中森鈴子が言った。
中森鈴子は、年齢25歳、大学では、経営学を学び、修士号まで取った。小柄で、フランクな性格である。鈴子は、入社2年目で、海外システム部長室の秘書である。実は、1年前に、自己都合で、部長室の秘書を30年近く勤めたベテランが急に退職してしまったので、鈴子は、急遽、配属替えになって、今のポストに着いている。前任者は、何でも知っていて、言わなくてもすぐにわかる人であったが、鈴子は、逆に、何にも知らないし、丁寧に説明されないと、指示が理解できなかった。
「それで、佐々波くんの様子はどうなんだい」
鈴木部長が、尋ねた。
鈴木太郎は、48歳、T商事の海外システム部長で、10年前にT商事に中途採用で入社した。それまでは、日本の大学で、情報工学を学んで、アメリカの大学で、博士の学位を取った。その後、日本に、戻ってきたが、定職が無く、派遣社員の仕事をこなしていた。T商事が専門職を中途採用で募集したので、それに応じて社員になった。
「サーフィンをしていて、どこかに、ぶつかって骨折したそうです。ただ、どこでぶつかったのかは、わからないそうです。松葉杖をつけば、明日には、歩けるそうです。リモートワークは可能という話です。ただ、明後日の講演会は、ネット講演会ですから、トラブルに対応するシステムの管理は、リモートでは無理と判断されたようです」
「わかった。私が、佐々波くんの代わりに、講演会を仕切るように、スケジュールを変更しておいてくれ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます