御大名が返した刀
葵トモエ
プロローグ 二人のサムライ
明治2年5月11日、戊辰戦争は終盤を迎え、新政府軍の箱館総攻撃が行われていた。陸軍奉行並、土方歳三は、新選組の守る弁天台場が孤立した報を受け、仲間を助けに向かった。しかし、一本木関門にて馬上で応戦中、銃弾に腹部を撃ち抜かれ、落馬した。このとき、本来なら側にいるはずの添役達が誰もいなかった。誰も、歳三が撃たれて落馬したことを知らなかった。しかし、ただ一人、それを見たものがいた。
「土方!!」
その男は歳三の側に駆け寄った。そのとき、歳三はまだ息があった。
「土方どん、しっかりせぇ。おいがわかっか?」
薩摩言葉であった。歳三は目を開けた。
「...半...次郎...おめぇか...」
それは、薩摩の侍、中村半次郎であった。そのとき、歳三は、腰のあたりを探っていた。
「...刀...」
側に、歳三のものと思われる刀が落ちていた。中村はそれを取った。中村にはその刀がなんであるか、すぐわかった。名刀、和泉守兼定。それも二代目『之定』だったのだ。
「土方どん...これは...?」
...二人のサムライの目が合った......
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