SLEEVE SCRIPT2021
水原麻以
エブリスタ版バックナンバー
黒歴史は恥だが役に立つ
早いもので日本初の緊急事態宣言から1年が経つんですね。まさか平和な日本で戒厳令みたいな世の中が来るとは思いもよりませんでした。あるとすれば地震や水害のような天変地異あるいは原発事故のような大規模人災、ダークホースで隕石落下やガンマ線バーストの焦点が地球に偏向していたとか。
まさか、第二類の伝染病とは…。
SFがますます書きづらい世界になりました。明るい未来を描こうとしてもそれはもはや異世界になってしまう。
ジャンル別ランキングのSF部門にオンラインゲームネタや異世界転生が上位入賞している現状も許せるようになってきました。
SFと言ったら宇宙とかメカでしょ、それかバイオかサイバーか、スチームパンクや伝奇やロストテクノロジーもいいかな、というこだわりが強かったのです。異世界転生や仮想現実で剣と魔法でSFジャンルに乗り込んでくるなんて何となく違うな…みたいなアレルギーがありました。
だって、SFで剣と魔法ならバローズでしょう。マーシャンプリンセスでしょう。デューンでしょう。アン・マキャフリ―でしょう。
そういう保守的な考えがあった。
緊急事態宣言が二度も繰り返される、今ならアリかなって。
だってドローンが発明されたのに自動車はなかなか空を飛ばないし、スペースXは頑張ってるけど月世界に農協が団体旅行するあの話には程遠いし。
こりゃサイエンスフィクションで直球勝負するのは無理かもね。
と、いう次第で最近の執筆としては宇宙をストレートな舞台にしたり未来都市を丸ごと創作するとか、そういう世界観はなかなか作りづらい傾向にあります。
さて、ここから本題です。
そういう時に役立つのが若気の至りで書いた創作メモや没原稿のたぐいです。私はマイクロソフトがクラウドストレージ(SkyDrive)を開始した頃から原稿をオンラインに保存することにしてます。
それで投稿作品の書きかけ原稿のバックアップはまかなえています。
何よりローカルに依存しないのでどんな環境でも書ける。スマホでもネットカフェのパソコンでも借りたタブレットでも自由自在。
メモ魔の私は結構な数の断片を残していて、最近の執筆はそれらに陽の光を当てる作業が中心になっています。もっとも、当時のアイデアはすっかり失念していて「何だこれ?」と首をかしげるメモもあるのですが、そこは創造力の出番です。
例えばこんな感じ。
「絶対零度の荒涼が、全天に君臨している。見上げても、見下ろしても、見渡しても、闇、闇、闇。
そこに息づく生命はなく、勢いづくのは死神の破竹。
それでも彼女はあきらめず、ひるまず、退かず、」
壮大な宇宙戦争の予感がします。しかし、メモはここで終わっているのです。何を書きたかったんだ!自分。
仕方ないので続けます。
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…臆せず、胸を張ってこの地球に生きようとしている。
その生命の、全てが彼女にあるように。その生命は、彼女の中に在る。
それゆえに、彼女は「絶対零度」という言葉を知っている。
そういう意味でこれから先は、「絶対零度の荒涼」を超える存在になるわけ――と言われれば、それはもうとことん、この荒涼とは比べ物にならないほど高い可能性だ。
そこには宇宙に生きるあらゆる生命の「絶対零度」が、あらゆるものの「絶対零度」が現れてくる。
~~~
こんな感じです。
言葉遊びにも思えますが転がすんです。あえて言葉を転がす。屁理屈やこじつけと言われたっていい。書き連ねてくうちに何かが出てきます。
私の作品に自問自答めいた節があるのはそのせいです。
と、いうわけで思い付きや書きかけの原稿やアイデアメモは残しておくと役に立つかも知れません。
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