ピンチDEデート

カノデリ部長はここから先の展開を想定中である。

 「しかし、あなたはお金がないから無理ですな。実は仁朗さんが目星をつけている女子生徒がいましてね。確定情報ではありませんが、あくまで噂レベルのお話で…」

吉川は妹の生写真を取り出した。もちろんハッタリである。理由の如何に関わらず男女交際は校則違反だがストーカー被害となると話は別だ。

「彼女の為に警察を呼ぶのは気の毒なので、彼女に和解させてはどうか」

大胆かつ非常に危ない橋を渡る話だ。つまり架空の(山田親子とっては寝耳に水の冤罪であるが、女子が被害を訴えれば痴漢冤罪すら罷り通る国だ)ストーカー被害をでっちあげて、その示談交渉に当事者を同席させるというのだ。

 それを聞いて山田は少しの間考えたが彼女に断わらないでくれと一喝した。

 「それならば、彼女の為ならどうでしょう。

 彼女をお金に換えて差し上げましょう。

 僕が彼女に払う額は百万円程度です。

 彼女をお金に換えれば、彼女はもっと多い出費になります。

 そうすればあなたは彼女と手を取り合うことができます。

 彼女は彼女で貴方をサポートすると約束しましょう。

 それと彼女には今後も付き合ってもらいますから将来は一緒に生活することを考えていただきましょうよ」

 山田は約束通り彼女に毎月百万円の支払いを約束した。

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