第百八十一話
「そういえば、私まだデートだってこと以外目的地も何が目的なのかも聞いてなくない?」
何とか機嫌を取り戻したルーナの機嫌を再び急降下させることのないように考えつつ私はルーナに話を振る。
「そういえばそうでした。なんと、今回の目的地はメルドスロアです」
「メルドスロアって、ダンジョン都市の?」
メルドスロア、ここアレイスロアから南西に五日ほど歩いた距離にある都市である。そこは他の都市とは違った特産物によって今なおアレイスロアに勝らずとも劣らずの利益を生み出し続けている。
それが王国には三つしかない
そしてダンジョン内のモンスターを倒すと
原理、構造は未だ未知数のところが多いがその性質だけははっきりしている。魔力の保管と変換、主な使い方は保管の方で何より王国では基本的な生活の必需品には必ずと言っていいほどこの魔石が使われているため王国としても手放すわけにはいかない重要地がメルドスロアということになる。
特にメルドスロアのダンジョンは大陸内でも有数というかほぼトップクラスの階層数と難易度を誇っているため国内外問わず訪れる冒険者は多いのだ。
「えぇ、そこでどうにも原因不明の奇病が発生しているらしいのです。今はまだメルドスロア以外での被害は無いのですがこれが流行性の感染症であったら大変ですからね。師匠から調査を依頼されたのです」
「なるほどねぇ。で、どうして私がそれに同行することになってるの、私治療はされる側が専門だけど」
「そんな自信満々に言わなくても……まぁ、そもそもサリーナには奇病の件で頼むことは無いと思います。私がお願いしたいのは
「セシルさんから?」
「あ、いえ。サリーナ個人にという訳ではなくてですね。あくまで私へのお願い事なのですけれどさすがに私一人ではダンジョンに潜ることが出来ませんからどうしても助っ人が必要になるのです」
「なるほど、目的の一つはダンジョンに関係ある訳で少なからずルーナもそこに潜る気なのね。でも、ダンジョンって誰彼構わず入れるようなところじゃないよね。そもそも前提としてまず冒険者でないといけないでしょ?」
私も実際にメルドスロアのダンジョンには訪れたことは無いので詳しいことは知らないけれどそれでも噂の一つや二つは耳に入るものだ。数年前の知識ではあるけれど確かソロならBランク以上が必要で最初は必ずダンジョンに潜ったことのある冒険者とパーティーを組まなくてはいけなかったはず、それに冒険者だったとしても登録してからそれなりの年月が経過していなければいけない、と噂話でも面倒臭いことは分かり切っていたから数年前に冒険者だった時も足を運ぶことは無かったのだ。
「実はですね。裏ワザが有るんです、それを使えば私でも簡単にダンジョンに潜れるそうなんです」
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