第225話 王都からの脱出(4)
「本題って、俺の借金のことか?」
「そう。港町ケインで背負った借金については、王都を救ったことを含めて王家が負担する事になった。よって君の借金は、ゼロになった」
「そうか。――で、俺が受けた仕事の報酬は?」
俺が背負っていた借金を王家が負担するというのなら、その借金のために働いて冒険者ギルドから受け取るはずだった報酬は、別途、もらえるということだ。
「まず、王都までの移動で金貨20枚。そして魔王四天王となった勇者一人あたりの討伐金が金貨2000枚。3人の討伐で金貨6000枚。それと、城塞都市デリアでの魔王四天王討伐ということで、金貨1000枚。合計で金貨7020枚が支払われることになった」
「それは、即金で貰えるのか?」
「もちろんだよ」
「それは助かった。こっちも色々と支払いとか備品の補充とかあるからな」
「そうか」
提案された金貨7000枚という膨大な金額。
それは日本円で言う所の7億円。
同郷の命を奪ったという額としては少ない金額とも言えるが……。
「次に、カズマ君。君にお願いがあるんだが」
「お願い?」
「ああ、城塞都市デリアの総督府として、王家からの依頼が来ている」
「総督府? あそこは王家所縁の人間が治めていたんじゃないのか?」
「そのことも含めて、シルフィエット女王陛下は、君の功績を鑑みて伯爵位を用意するとのことだ」
「はぁー」
「だろうね」
俺の盛大な溜息に笑みを浮かべるケイネス。
「溜息だけで分かったのか?」
「もちろんだ。王家からの要請は受けたくないということだろう?」
「当たり前だ」
「だが――、君は、王家からの要請を受けた方がいいと思うよ?」
「どういう意味だ?」
「情報は、王家から降りてきている。君の伴侶は、獣人国ワーフランドの王女だと言う事も。これから正式に婚姻を大々的に公表する場合、エミリア・ド・ワーフランドと結婚する場合、立場というのが必要になる。そのために、シルフィエット女王殿下は、城塞都市デリアの総督府の総督任命と、伯爵位の用意をする事になった」
「つまり、俺に貸しを作りたいということか」
「そう考えた方がいいね」
「なるほどな……」
つまり、リーン王国の女王は、俺に恩を売ることをしたいと。
まぁ、いくらなんでも冒険者としての身分を冒険者ギルドが保証していると言っても、それは戸籍上という観点から見れば、平民と大差ないからな。
「――で、どうだい? 丁度よくエミリア・ド・ワーフランドと、君は城塞都市デリアの市民権を保有している。君達が、城塞都市デリアの市民達から信頼を得てるという話も聞いている」
「それは、ラムドからか?」
「まぁね。それで、どうかな?」
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