第129話 勇者との関係性
「それにしても、カズマさんはアイテムボックスを持っているなんて、珍しいですね。まるで勇者達と一緒に行動していた従者みたいですね」
「そうか?」
「カズマさんは、勇者達とは何か関係性はあるのですか?」
ソフィアが、真っ直ぐに俺を見ながら問いただしてくる。
俺は肩を竦めながら口を開く。
「まったく関係ないな。俺は、そもそも歌う森出身だからな」
「エミリアさんもですか?」
「あまり、人の出身地に関して聞くのはタブーじゃないのか?」
俺はソフィアを睨みつける。
「カズマ君。あまりソフィア君を虐めないでくれないかね?」
「ラムド、冒険者に色々と聞くのは問題じゃないのか?」
「…………そうだな。――では、この話は、ここで終わりとしよう。――で、これが追加の報酬になる」
ラムドが、ソファーから立ち上がったかと思うと、執務机の引き出しを開け袋を取り出すと戻ってきてテーブルの上へ袋を置く。
「遠慮なく頂いておくぞ」
「分かっている。冒険者には報酬が命だからな」
俺は、金貨が入っている袋をアイテムボックスへと入れ受け取る。
「――さて、これで話は終わりだな」
「あの……、カズマさん」
「何だ? ソフィア」
「龍籠を用意致しましょうか? 王都まで早く辿り着いた方がいいと思いますし」
「お前、俺と王都を攻めている魔王軍を戦わせようとしてないか?」
「そんなことはありませんが……」
語尾が怪しいな。
ソフィアを睨みつける。
すると、ソフィアは目を逸らしながら「少しは考えています」と吐露してきた。
「だろうな。Sランク冒険者ギルドカードを態々発行したくらいだからな。そんなところだとは思っていた」
「露骨すぎたか?」
俺がソフィアに突っ込みを入れているとラムドが横から口を出してくる。
「当たり前だ。それよりもだ……、龍籠については用意してくれると楽だな」
「分かりました。用意しておきます。明日には飛び立てるようにしておきますので、早めに旅の準備を進めておいてください」
「わかった」
俺はソファーから立ち上がる。
「エミリア、いくぞ」
「はい! それでは、ソフィアさん、ラムドさん、失礼致します」
ペコリと頭を下げたエミリア。
そして俺がギルドマスターの部屋から出るとエミリアもついてきた。
「あの、カズマ」
「どうかしたのか?」
「私がアイテム袋を預かってよかったのでしょうか?」
「俺にはアイテムボックスがあるからな。それに、エミリアにこそ必要だと思うぞ」
「――でも、リオンちゃんとかには……」
「アイツには必要ないと思うぞ」
そもそもアイツは、アルドガルド・オンラインの世界では最強のモンスター四竜の一匹だし、何かあれば、モンスターでも食って生き延びるくらいはしそうだ。
「そうなのですか?」
「まあな」
俺はエミリアの疑問に答えながら、彼女を連れて冒険者ギルドの建物を後にした。
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