第49話 警戒
リブラがアジトに戻ると、サギタリウスがライフルの入った長い鞄を横に置き、座って待っていた。
「ようリブラ…潜入はどうだった?」
「…思ってたより早くバレたわ。何者なのあの女は?」
リブラがそう尋ねると、サギタリウスは真面目な顔をして言った。
「聞いた事がある…アメリカの裏社会で名を轟かせる親子がいるってな」
そして悪そうに笑うと、サギタリウスは言った。
「ブラウン親子…一度やり合ってみたかったんだ。リブラ、お前にも協力してもらうかもしれない、気を引き締めてくれよ?」
「いいけど…あんたその悪そうな顔なんとかならない?」
サギタリウスはリブラの言う事を聞かず、そのまま考え込みながら笑っていた。
…ダメねこれは。
リブラはそう思いながら、深いため息をついた。
***
「それでさ…なんでメイド続けてるの?」
修が掃除に勤しむアイリスにそう話しかけると、アイリスは掃除の手を止めて答えた。
「この前暗殺部隊の女を追い出したのはついでです。まだこの邸に黒幕がいる可能性は捨てきれません。…使用人の皆さんの前ではとてもそうは言えませんが」
「…思い違いだと思うけどな。この家に俺を殺そうなんて考える人はいないよ」
…使用人達を信頼しているんですね、しかし…。
少し穏やかな顔をしたアイリスだったが、一瞬で怖い顔になった。
「アイリス?どうかした?」
自分の方を見ないアイリスに修は声をかけるが、アイリスは振り向かないまま言った。
「少し疲れました、休憩の時間なので休憩所へ行こうと思います…。」
「そっ…そう?わかった、ゆっくりして来て!」
「ありがとうございます…。」
そう言うとアイリスは、修の方を一度も見ずに休憩所へ歩き出した。
…ごめんなさいオサ、私は犯人探しをやめません。たとえ貴方に嫌われようと…。
そして気づいていた。
その様子を見ていた何者かに。
***
「梶原修、ただの高校生にこんなに手こずるとはうちの部隊も大した事ないな」
「サギタリウス…そう言いながらなぜ撃たないの?ライフルの射程内じゃない?」
リブラがそう尋ねると、サギタリウスは目を細めて言った。
「いや…そうしたかったんだが…あの女、俺達に気づいていたぞ」
「えっ!?まさか!どれだけ離れてると思ってるの!?そんな馬鹿なこと…!」
リブラがサギタリウスにかわり、ライフルをのぞくと、怖い顔でばっちりこちらを見ているアイリスの姿が見れた。
「…ひっ!なんなのあの女!?」
「そう驚くな、仕掛けは多分あれだ」
サギタリウスが指差す方を見ると、一台のドローンがこちらにカメラを向けていた。
「えっ!何あれ音した!?」
「下がってろ…。」
サギタリウスがそのテルマが操作するステルスドローンを撃ち落とすと、彼らがいるビルに少しの煙が上がった。
…バレましたか…やはりテルマに周辺を警戒させていて正解でした。あのサギタリウスも出て来たようですし、引き続き梶原邸で警護にあたりましょうか…。
アイリスがそう思いながら別の画像を見ると、そこにはサギタリウスとリブラが帰って行くのが見てとれた。
サギタリウスは当然、ドローンに気づいている様子だった。
「テルマ、もう追いかけなくていいので周辺の警戒にあたってください…。」
「…了解ですアイリス」
…またドローンを壊されて目が無くなると困りますからね…ステルスドローンだと費用もかかりますし。
アイリスはそう思いながら、他のドローンで自分の部屋にいる修の様子を見た。
…またタブレットを見てますね。
修の様子を眺めていると、メールが送られて来た。
"ドローンで見てないで、部屋まで会いに来てくれた方が嬉しいんだけどな。"
修のアカウントでそう書かれていた。
それを見たアイリスはタブレットでテルマに話しかけた。
「テルマ!またオサからのアクセスを許可しましたね!」
「…すみませんアイリス、修にどうしてもと言われると断れなくて…。」
「…頭が痛いです。もういいので警戒を続けてください」
「了解ですアイリス」
テルマのドローンが修の部屋から離れて行くと、修は微笑しながらベッドに寝そべった。
***
暗殺部隊のアジトでは、レオがまたサギタリウスの行くてを塞いでいた。
「どうだい調子は?サギタリウス…。」
「あぁ、すこぶるいいぞレオ」
二人が火花を散らすと、アクアリウスとタウルスがレオの腕を引きこそこそと言った。
「ダメよレオ!貴方も、相当いい腕してるけど、サギタリウスは敏腕なんだから!」
「そうだぞ。喧嘩なんかふってみろ、お前らの暴れた後に死人が出るだろ!」
…全くこの二人は。暗殺者が死人が出るのを躊躇してどうする?
レオはそう思いながらも通路を塞いでいた足を退けると、サギタリウスがすれ違い際に言った。
「お前のお気に入り、中々やるじゃないか。あぁいう女が好みだったとはね。でも俺の敵じゃない、先を越されたくなかったら俺とリブラについて来るんだな」
それを聞いたレオはキャンディを噛み砕き、不機嫌な目をしていた。
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