老害の逆襲
フッ、と斎苑が嘲笑した。そして交換条件を出した。そこまで見抜いているのならと言う奴だ。
「支配権の折半なら不十分な取引だわ」
凛菜は難色を示した。そして佐伯が魔王に裏切られた顛末を話した。
「なぜそれを知っている?ははぁ、読んだのか」
斎苑は佐伯の人格を五分ごとに改定されるVR世界に予め幽閉しておき、反骨精神を鍛えたのだ。然るべき復活に備えて。
「何が欲しいって?それは」
いうより早く老人の右脛が貫通する。倒れて呻く教授。「命か。無駄な事を」
そして這う這うの体で内懐に隠し持ったスイッチを押した。
ドン、と船体が大きく揺れる。
「なっ?」
狼狽える凛菜に斎苑は死刑宣告をした。
「カノープスはいつでも動ける。私は彼と取引したんだ。無知蒙昧の徒が反乱劇を演じてくれる。その見物料代わりに同盟を申し出た。彼は面白がってくれたよ」
恒星にフレアが巻き起こる。MBHが放たれたのだ。
深紅の室内灯が照明され、警報が鳴る。生命維持装置がシステムダウン。
「何をやったの?」
「主要制御系のプログラムを消去してバックアップをMBHに投げ込んだ」
α号はじき姿勢を失い恒星に墜落する。
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