第8話 絶望に疲れて眠り、その際に視た悪夢 俯瞰視点(2)
「ねえマリィ、止めるなんて言わないでよ。もっと挑戦しようよ。挑戦しようよぉ……!」
「いやぁ……! いやぁ……っっ! いやぁ……っっっっっ!」
ずる、ずる、ずる。テオは掴んだ足首をジワジワと引っ張り、マリィは両手両足をバタつかせて抵抗します。
このまま完全に引き寄せられたら、何をされるか分からない。
そう感じているマリィは、死に物狂いで抵抗します。
「ひぃぃ……! ひぃぃぃ……! ひぃぃぃぃぃぃぃぃいいいぃぃぃぃぃぃぃ……!」
「あの程度じゃ、物足りないよ。考えようよ。考えようよぉ……!」
「いっ、嫌っ! これ以上はっ、もうっ、作戦はできないっ! それにっ。それにぃぃぃっ! もう、考えたくないですわぁっ! だってぇっ! こんなぁっ! そのせいでぇっっ! あんなにボロボロになってぇっ! こんなぁ目に遭うんだもぉぉんっ!!」
企まなければ、こんな場所でこんな事になりはしなかった。
マリィは泣き叫びながら首を大きく振り、けれど。テオは、止まりません。諦めようとはしません。
「マリィには、悪巧みの才能があるんだよ。ねえ、そんなこと言わないで。ねえ、そんなこと言わないでぇ……!」
「もぅっ、悪巧みはしませんわぁぁっ! ぜったいにぃっ、しないのぉっ! だからっ、あきらめっ、てぇぇっ! はなしてぇぇぇぇぇぇ!」
「えー、いやだよぉ。だって、こんなに楽しんだもん。面白いんだもん。何が何でも、考え直してもらうよぉ……!」
ずる、ずる、ずる、ずる。がばり。
ついにテオは自らのもとまで引きずり寄せ、勢いよくマリィの背中に覆いかぶさりました。
「ぎやあ!! ぎあああああああああ!! ぎやあああああああああああああああああああああああああああっ!!」
「マリィが『する』って言ってくれるまで、こうしてるよぉ……! ねえマリィ、約束してよ。約束してよぉ……!」
「!? ひぎぃぃぃぃっ! ひいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!」
首が不気味に伸びて、うつ伏せのマリィを横から覗き込んできます。
どす黒い異形が、間近で笑う。
その恐怖はすさまじく、マリィは絶句。一瞬にして全身から血の気が引き、体温は氷の如く冷たくなって――。
「ぁ、ぎ…………………………………」
ついに恐怖の量が、許容範囲を超える。
マリィの目玉がぐるんと上を向き、大口を開けたまま失神。彼女は悪夢の中で気を失い、現実で目を覚ます事になるのでした。
そして、その後――。
この出来事が、マリィ・ミラを大きく変える事になるのでした――。
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