梅雨色

詩川貴彦

第1話 梅雨色

「梅雨色」


淡い赤も

深い緑も

静かに濡れて

黙り込んでいる


暗い空も

湿った風も

運命(さだめ)を背負い

歩き始めている


梅雨色の雨は懐かしい声

梅雨色の雲は愛しい日々

何もかも喪失して

思い出にしがみつくだけだ


大粒の雨も

風の匂いも

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