暗雲

やって来たのか

帰って来たのか

空一面の鈍色の雲

雨粒ひとつ落とさず

黙って頭上に居る


いっそ ざっと 降りしきって

居なくなればいいものを

じっとしている

まるで 病室の天井

入った覚えのない

二度と出れない病室


救急車のサイレンが歪んで

ストレッチャーが私を攫う

なす術もなし 丁度いい

いっそ治しておくれ

私を 彼らを 皆んなを

この薄暗い 見渡すほどに

巨大な相部屋の病室で



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