第15話 もう片方の指輪の持ち主

【魔術研究所・魔道具研究室】



(クリス視点)




「エミール達遅いな…何かあったのだろうか?」



と心配気に話す殿下。



「彼方の方が先にお約束されているところに、此方が割り込む形で押し掛けて来たのですから、仕方がないのでは、ないでしょうか?」



と答えると、殿下は不満そうに



「さっきのお前の【鑑定結果】より大事な事があるのか!?」



と、苛立っておられる。



そう先程、殿下方や研究所所長のトール・F・サイド殿の前で【鑑定の魔道具】で私の【鑑定】をした結果、とんでもない【鑑定結果】が出たのだ。


********☆*********

【鑑定結果】


名前 ナルキス・F・ロピアー(クリス・フォルラン)


年齢 18歳


出身地 ロピアー公爵領


家族

父親:ニコラス・F・ロピアー

母親:アリエル・F・ロピアー


*******☆**********


この【鑑定結果】に殿下は



「おお!?凄いじゃないか!

やはり私の思っていた通りだ!」



と大興奮である。



それに対して研究所の開発職員達は



「コレってつまり……。

偽れてるのは、外見だけって事か。」


「鑑定結果がコレだけっていうのは、ちょっとなぁ…。」


「ところで秘書殿の外見は、どうやって擬装しているのだろう?」


「「「「「【鑑定の魔道具】性能をもっとアップさせなければ!!」」」」」



と言いながらまた研究を始めてしまった。



どうやらもう私の、【鑑定結果】には興味が無くなったらしい。

けっこう大変な事だと思うのだが……。



エミール殿下とサイド所長が戻って来たのは、それから30分以上経ってからだった。

何故かサイド所長の弟のハーシー殿と、エリーお嬢様のご友人のターク嬢の二人を連れて……


******************


(ターク視点)



『魔術研究所・魔道具研究室』にやって来た。

ここに【鑑定の魔道具】と【もう片方の指輪の持ち主】が!

そう思うとワクワクかが止まらない。



エミール殿下と兄さんについて室内に入ると、第四王子シオン殿下と秘書官のクリスさんがいらっしゃった。



「お待たせしました。兄上、クリス殿。

こちらは、所長の弟君の学園で錬金科の教師をされている、ハーシー先生と妹君で錬金科の学生であるターク嬢です。」


「ハーシー・F・サイドです。

よろしくお願い致します。シオン殿下クリス殿。」


兄さんに続いて僕も挨拶をする。

「ターク・F・サイドです。

よろしくお願い致します。シオン殿下クリスさん。」


「よろしく。」


「お久しぶりですね、お2人共…… 」


「兄上、クリス殿。実は先程ターク嬢から『【指輪】を持っている者を見つけた。』という証言を頂きました。

持ち主の名前はナルキス・F・ロピアー殿です。」



と、いう事はもう1人の指輪の持ち主ってやっぱりクリスさんって事だよね!

向こうもやはりというような顔をしている。



「クリス殿、先日私言いましたよね?

【父親の形見の指輪】はずした方が良いと……。

もうお気づきかと思いますが貴方と今、公爵子息を名乗っている男が入れ替わっている事に!」



「私はこれから国立図書館に行ってもう1つの証拠である【危険な魔道具図鑑】を借りに行って来ます。

手続きや確認に、少し時間がかかますが、明日の午後には証拠を揃えて、ご覧に入れましょう!」



そう言ってエミール殿下は、護衛騎士と共に部屋を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る