第5話 学科選びは重要です。
三年後【高等部入学直前】
ついに高等部に入学ですわ。
ここ国立ユイナーダ学園では高等部から、各学科ごとに分かれて勉強する事になっていますの。
本来なら私は将来の公爵夫人として『淑女科』に入らなければならないのですが、『淑女科』は『特進科』と何かと関わり合いになる授業が多く、できれば入りたくありません。
何故『特進科』と関わり合いになりたくないかですか?
もちろん大嫌いなナルキスがいるからですわ!
私が悩んでいると、何とエミール殿下が
「でしたら『魔術科』にすれば良いと思いますよ。
幸い貴女の家は、魔術の大家ですし“一応”淑女としてのマナーも出来ていますよね?
幼馴染のよしみで口添えぐらいしても構いませんよ。」
と仰って下さいました。
おゝ!流石は、エミール殿下!!
その手がありましたか!
早速、お父様に掛け合ってみますね!
ところで“一応”というのはちょっと失礼じゃありませんか?
数日後、エミール殿下の口添えもあり、何とか『魔術科』への入学許可がおりましたわ。
その代わり『絶対に騒動を起こさない』という約束をさせられましたけど。
持つべき物は、やはり権力者の幼馴染ですわ♪
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【国立ユイナーダ学園高等部入学式】
入学式の『新入生代表挨拶』と言えば、一番身分が高い人が行うのが普通ですわね。
しかしそのルールが去年から代わりましたの。
『平民にも平等にチャンスを与える為に、入学試験の成績が一番良かった者を新入生代表にする。』というものですわ。
表向きは……
実際には、私のナルキスに、新入生代表をやらせない為の処置ですわね。
昨年度は、彼が最上位貴族でしたのよ。
他国からも来賓の方々が来られるのに、“我が王国の恥を晒す”訳にはいきませんもの!
因みに昨年は、文官科の方が代表でしたのよ。
ルールが変わって、『自分が新入生代表に成れない』と知ったナルキスは暴れようとしたようですが、在校生代表で生徒会長であった、第五王子殿下に睨まれて大人しくなったそうですわ。
彼はどれだけ公爵家の顔に、泥を塗るつもりなのでしょうか?
今年度の代表はエミール殿下だと思っていたのですが、違いましたわ。
『錬金科』にトップ合格した天才だそうですの。
凄いですね。
壇上には既に、今年度の生徒会の方々が並んでおられますわ。
生徒会長は、第六王子殿下。
副会長は、第七王子殿下。
書記は、第十王女殿下。
会計は、第十一王女殿下。
何と今年度の生徒会は、ほとんど王族で締められていますのね!
そしていよいよ、新入生代表挨拶ですわ。
今年の新入生代表は、私が初等部の時に起こした騒動で、かなりの迷惑をかけてしまったタークちゃんですの。
その騒動の所為で、タークちゃんのお兄様が家出してしまい、お父様達にしこたま怒られましたわ。
そのお兄様がようやくお戻りになったのでお詫びも兼ねて、我が家で就職先を斡旋させて頂きましたの。
ちょうど、【練金科】の教師に空きが出来たので、ちょうど良かったみたいです。
言っておきますが、辞められた先生は『定年退職』ですわよ。
地元に帰って子供達に【錬金術】を教えるのですって。
もちろんタークちゃんとも和解しましたわよ。
こうして私の高等部生活が始まったのです。
え?高等部の『入学記念パーティー』ですか?
あの騒動の後『招待状』は、一人づつに配られる事になりましたの。
そしてナルキスは『招待状』を失くして会場内に入れず、摘み出されていましたわよ。
自業自得ですわね。
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